株式会社メドレックス(4586 Mothers)
次期大型候補品浮上

2021/05/31

フォローアップ ・ レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

次期大型候補品浮上
メドレックスは、同社にとって最大の開発品であったオキシコドン・テープ剤(MRX-1OXT)の開発を2019年11月に中断して以来、フェンタニル・テープ剤(MRX-9FLT)に開発に着手し、またリドカイン・テープ剤(Lydolyte)の申請も達成した。しかし、両者とも、ジェネリックとの競合が激しく、またフェンタニル・テープ剤はがん性疼痛市場が主要対象となり、慢性疼痛に広く用いられる可能性は低い。しかし、2021年5月、ようやく慢性疼痛市場に広く用いられる可能性があり、しかも同様の先行品がない開発品が浮上した。これはジクロフェナック・リドカイン・テープ剤(MRX-6LDT)で、中断しているオキシコドン・テープ剤に次ぐ大型開発品となる。また、感染症に対するワクチンをマイクロニードル製剤の開発も着実に展開しているところである。この2つの薬剤は開発に時間はかかるが、超大型薬剤になる可能性を秘めている。

変形性膝関節症の市場は大きい
ジクロフェナック・リドカイン・テープ剤(MRX-6LDT)の特徴は、異なる疼痛作用を持つジクロフェナックとリドカインの相加的あるいは相乗的な治療効果が期待できることである。現時点では、同様の先行品や開発中の候補品もない。最終的には幅広い慢性疼痛に対し、消炎・鎮痛剤として使用されること目指しているが、最初の開発対象となる適応症は、変形性膝関節症(OA)となる公算が高い。鎮痛剤の開発の難しさは、治験の効果を測定するエンドポイントが、個人の痛みの感じ方に依存することに起因する。その点でOAは患者のレベルを揃え易いと言われている。OAの患者は米国だけで6300万人と推計される大きな市場である。久光製薬のジクロフェナック貼付剤HP-5000もOAの市場を狙って開発中である。HP-5000が上市され、OAを適応症とする市場でジクロフェナック貼付剤が評価され始めた絶好のタイミングで、メドレックスのジクロフェナック・リドカイン・テープ剤はちょうどPh2を完了し、ライセンスアウトの時機を迎える可能性が高い。

マイクロニードル開発の進捗も期待
マイクロニードルの社会的意義は大きい。マイクロニードル技術を応用した「貼るワクチン」では、注射のような痛みがない(低侵襲性)だけでなく、接種に必ずしも医療従事者を必要としない(自己投与可能)。また、微小針に固体のワクチン抗原を塗布している場合、常温保存の可能性が高く、輸送・保存が簡便で、医療環境の乏しい発展途上国でのパンデミックに対抗する方法として有望な技術と考えられるため、大きな市場が見込める。メドレックスでは、ワクチン向けのマイクロニードルの潜在市場規模を470~9,400億円と捉えている。既に、治験工場は完成し、治験工場をワクチンに用いられる病原性のある細菌やウイルス、遺伝子組み換え生物等の取り扱いを可能にする施設にUpgradeも完了している。今後は、感染症に対するワクチン・マイクロニードル製剤の有効性、安全性等を確認し、実現可能性を検討する動物試験を行う予定で、製薬会社・ワクチンベンチャーなどとの事業提携の加速を期待したい。

>>続きはこちら(2MB)

TIW/ANALYST NET
証券アナリストに限定せずに、コンサルタントや研究者など幅広い執筆者による企業分析・評価によってアナリストレポートへのアプローチと収入基盤の多様化を目指すプロジェクトです。
本レポートは、株式会社ティー・アイ・ダヴリュが「ANALYST NET」の名称で発行するレポートであり、外部の提携会社及びアナリストを主な執筆者として作成されたものです。
  • 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
  • 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
  • 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
  • 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
  • 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
  • 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
  • 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
  • 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
  • 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。