オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Mothers)
期待される中国への対象地域拡大

2021/03/31

ベーシックレポート 改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

がんを溶かす腫瘍溶解薬テロメライシン
オンコリスバイオファーマの主力開発品は、テロメライシンという遺伝子を改変した腫瘍溶解ウイルスである。テロメライシン(OBP-301)は、がん細胞にも正常細胞にも感染するが、がん細胞で活性が高いテロメラーゼ酵素によりウイルスの増殖スイッチが入りがん細胞を溶解し、がん細胞の細胞死を発生させる。感染したがん細胞は溶融した後、増殖した腫瘍溶解性ウイルスを放出して他のがん細胞に感染していくだけでなく、がんの抗原も放出することで抗腫瘍免疫活性も上昇させる。従って、現在流行しているキイトルーダやテセントリク等の免疫チェックポイント阻害剤との併用で抗がん効果がさらに増大する可能性が高い。現在、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がんの4つのがん種で8本の臨床試験が進展している。最も進んでいるのは、導出先の中外製薬が開発している食道がんを対象とした放射線併用療法で、日本国内で、先駆け指定の下、2023年以降に申請予定である。申請をにらんで、オンコリスバイオファーマでは商業生産製法の確立に注力する一方、投与デバイスの開発のため朝日インテックと資本業務提携を締結するなど事業化に向けた歩みを着実に歩んでいる。

多彩なパイプライン
オンコリスバイオファーマは、テロメライシンの他、次世代テロメライシンOBP-702の開発や新型コロナ感染症治療薬の開発にも注力し、これからスピードを上げて取り組んでいくところである。特に、新型コロナ感染症治療薬は、2021年3月、対象化合物をOBP-2011に絞り込み、治験薬のGMP製造と安全性・薬理試験に着手している。オンコリスバイオファーマでは2022年治験申請、2023年までにPOC取得を目指している。成功すれば、少なくとも現在のインフルエンザ薬(タミフルやゾフルーザ)並みの市場が見込めるのではなかろうか。また、以前HIV薬として開発したOBP-601は、ALS等の神経変性症の治療薬として再浮上している。2020年6月に米国トランスポゾン社へ導出しているが、2022年には臨床試験(Ph2)入りし、マイルストーン収入が期待できる。

期待される中国への対象地域拡大
2021年、最も期待されるイベントは、テロメライシンの中国への対象地域拡大であろう。食道がん・胃がんや肝細胞がんの患者は欧米人種よりもアジア人種の方が圧倒的に多い。テロメライシンの中国への対象地域拡大が、パイプライン価値を大いに引き上げることは言うまでもない。オンコリスバイオファーマによる2021年の売上予想は、3.5億円~7億円の幅を持たせてあるが、上限の7億円をもたらすものは、テロメライシンの対象地域拡大契約の契約一時金(最大3.5億円)と想定される。2019年4月、中外製薬に、中国・香港・マカオ・台湾を除く全世界での権利を導出した際の契約一時金は5.5億円で、マイルストーン総額は約500億円であった。今回、中国という大市場を対象とした導出で、契約一時金が最大3.5億円と想定されるならば、マイルストーン総額も200~300億円は期待できよう。

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