株式会社キャンバス(4575 Mothers)
すい臓がん10例目もSD達成

2020/08/31

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

CBP501拡大相10例評価中
拡大相10例目は依然として観察評価中であるが、長期の病勢安定を達成した。今回の拡大相10例のなかでは、奏効(CR/PR)は出現しなかったが、長期病勢安定(SD)率は50%という高率を達成したこととなる。無増悪生存期間(PFS)中央値も、中間解析時の1.9ヵ月を延長し3ヶ月を超えることが確実となっている。また、中間解析時点の全生存期間(中央値)は5.0ヵ月と、同種の試験(対象3rd -Line)の結果の2倍程度を実現している。同時に、サブ解析の結果も想定通りの作用機序が実現されていることを示唆するものだった。

有望な機序のCOVID-19治療薬候補
COVID-19に対する治療は、ワクチンの他、 (a) 抗ウイルス薬による病原体の処理、 (b)サイトカインストーム状態に対する治療、(c)ウイルスのACE2受容体への結合阻止のように様々な戦略に分けられる。キャンバス 社 が共同研究するIDO/TDO二重阻害剤は、 (b) と (c) の両方の効果を狙うものである。 COVID-19という感染症は、免疫系のみならず、生体の全ての細胞にあるミトコンドリアを介する代謝経路等も関与していると考えられるが、キャンバス社が保有しているIDO/TDO阻害剤は、この代謝経路にも作用するものである。また、他の感染症や癌免疫賦活療法等によるサイトカインストーム抑制にも応用ができる可能性がある。

成功への期待は持続
CBP501に比肩する成績を上げている薬剤候補は米国タイム社のSM-88である。SM-88は2020年8月FDAよりOrphan Drug指定を獲得した。また、タイム社は、2020年1月、SM-88に関し米国Eagle社と共同プロモーション契約を締結し、20百万ドルを一時金として受領している。今後は、更に20百万ドルのマイルストーン収入と10百万ドルの資本注入が見込まれる。また契約対象地域を米国以外へ拡大した場合、さらに200百万ドルが支払われることとなっている。また米国での売り上げに伴うロイヤリティ収入は75%を受け取る契約となっている(開発・製造・マーケティングは、すべてタイム社の負担だが)。キャンバス社の場合、拡大相では奏効例がなく、「大成功」には至らなかったが、次相の進む価値のある結果は示されたと考えられる。既に提携を実現しているSM-88と同程度の結果も示しており、早期の提携の実現が望まれる。

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