株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(4576 JASDAQ)
成長する安定収益源を複数保有する稀有なバイオベンチャー

2020/04/22

ベーシックレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

キナーゼ阻害剤の眼科薬を重点領域とする創薬ベンチャー
株式会社デ・ウ エ スタン・セラピテクス研究所(以下、DWTI)は、ニッチで比較的参入障壁の高い眼科 疾患を重点領域とし、自社独自のキナーゼ阻害作用を有する豊富な化合物ライブラリーを活用して、有望な新薬候補を継続して創出している。既に、自社開発プログラムから生まれたグラナテック®をライセンスアウトし上市した実績がある。ただし、グラナテック®の導出は、前臨床前の段階での導出で、基礎研究に特化していた基盤創生期の事象であったため、導出条件は必ずしも高いものではなかった。しかし、現在では、 適応疾患や適応地域も順調に拡大中であり、収益を安定的に得るために他社から導入した製品も適応地域や対象手術の領域が 順調に拡大中であり業容が拡大し始めている。 DWTIは、成長中の安定収益源を複数持ちながら、自社で新薬開発を臨床前期まで遂行し、ライセンスアウトを狙う段階までステージアップしている。

成長する安定収益源=既に上市品2品
緑内障治療薬であるグラナテック®(導出先:興和)は、2014年、緑内障治療薬の世界初のROCK阻害剤として承認された薬剤で、日本市場での売上は既に50億円以上になっている。2019年2月、韓国にて輸入薬の許可を取得、8月以降アジア4か国で新薬申請が行われ、2020年3月には、その第一号としてシンガポールで承認を取得した。また、2019年8月から、米国にて、フックス角膜内皮変性症を適応症としたPh2が開始されている。さらに、2020年2月、異なる作用機序の緑内障治療薬とグラナテック®の配合剤の開発 (K-232;日本)も開始され、ライフサイクルマネジメントも進行している。これらの施策により、グラナテック®の売上は、当面安定的に拡大することが期待できる。
また、自社の目利き力を生かして導入した眼科手術補助剤DW-1002は、グラナテック®後の自社開発品による収益確保までの時間と収益拡大の役割を果たし、 既存の欧州での販売に加え、10月にカナダに新薬承認申請を提出し、2019年12月には米国で承認を取得し、2020年4月に米国での販売を開始した。また適応症拡大については、日本での白内障手術に関する医師主導Ph3が2018年8月に終了し、2019年2月に、白内障手術に関する権利(日本)をわかもと製薬へ導出している。

H-1337とGlaukos製品も含めたパイプライン価値は170億円程度と試算
現在、自社創製品で、導出活動を行っているのは、H-1337である。H-1337も、グラナテック®同様にイソキノリン誘導体の一種で、LRRK2などを対象としたマルチキナーゼ阻害剤である。緑内障・高眼圧症を対象とした開発が2016年から米国で始まり、2018年3月にPh1/2aを開始、同年9月に良好な結果で終了している。DWTIでは、向こう1~2年のうちにライセンスアウトすべく活動中である。また、近年緑内障の分野では、患者のQOL向上を目的としたデバイス市場が注目されている。このような背景をもとにDWTIは、世界的な眼科デバイスメーカーであるGlaukos社と、2018年から、新規のROCK阻害剤を用いた緑内障治療製品の共同研究も開始している。既上市品の販売拡大と新規2製品の上市成功を前提として、様々な仮定を設定したうえでの試算ではあるが、DWTIのパイプライン価値は200億円程度が期待できる。新規2品の成功確率を60%としても、170億円程度の価値が期待できよう。

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