株式会社メドレックス(4586 Mothers)
大胆な戦略変更:フェンタニル・テープ剤の価値は大きい

2019/12/16

フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

メドレックスを取り巻く環境変化
前回のレポートでは、1年3か月の停滞を経て、2019年後半から、再び開発・導出の進展が浮上する時期に入っていくと期待されるものとした。実際に、米国でのリドカイン・テープ剤(MRX-5LBT)やメマンチン貼付剤(MRX-7MLL)の開発は予定通り進捗している模様である。ただし、チザニジン・テープ剤(CPN-101)の開発の遅れで、年後半に予定していたマイルストーンのうち6分の5が2020年以降にずれ込むこととなった。それ以上に、メドレックスにとって、最大の価値をもたらすと想定してきたオキシコドン・テープ剤(MRX-1OXT)を取り巻く環境は、不透明感が増してきた。乱用・誤用防止策を組み込んだオピオイド鎮痛薬の重要性に変化は無いが、導出となると、承認が取れてからではないと難しい環境になってきた。

大胆な戦略変更へ
メドレックスは、大胆に戦略を変更し、フェンタニル・テープ剤(MRX-9FLT)の開発とリドカイン・テープ剤(MRX-5LBT)の欧州での開発に着手する決断を行った。フェンタニルは、オピオイドの一種で、重度の急性疼痛、慢性疼痛、がん性疼痛の緩和に、主に貼付剤として使用されている。既存のフェンタニル貼付剤は、使用後の放置された貼付剤を幼児・小児が誤って噛んだり貼付したりすることで、年間数例の死亡事故が発生している。メドレックスが開発する新規のフェンタニル・テープ剤は、誤用事故を抑制・防止する独自技術が適応されたものである。2019年5月にFDAとの面談で、フェンタニル貼付剤における幼児・小児の誤用事故防止は、重要で価値のあるゴールとの見解を示されていた。

フェンタニル・テープ剤のパイプライン価値は200-400億円
米国のフェンタニル貼付剤の市場は、特許切れ直前の2004年には2600億円程度であったが、現在はジェネリックの参入で価格が低下し、340億円ほどの市場になっている。メドレックスは、ジェネリックの1.5倍程度の価格で、市場シェアを33%~66%を狙っており、新薬承認後の導出を考えている。そこで、100~300億円のマイルストーン収入と15~20%のロイヤリティを仮定すると、フェンタニル・テープ剤(MRX-9FLT)のパイプライン価値は、200~400億円(税前)と試算される。これは、十分、オキシコドン・テープ剤(MRX-1OXT)の空白を埋めることが出来るパイプラインである。

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