株式会社リボミック(4591 Mothers)
ブロックバスターの可能性に開眼
ベーシックレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
核酸医薬(アプタマー)の創薬ベンチャー
リボミックは、核酸医薬の一種であるアプタマー医薬の研究開発を専門とする東京大学発のバイオベンチャーである。核酸医薬は、低分子薬や抗体医薬による創薬の種が、これまでの開発競争で枯渇化している懸念のなか、治療が難しかった疾患に対する新しい創薬モダリティ(治療手段)として注目を集めている。アプタマーは、核酸の一種であり、疾患の原因になっているタンパク質などの分子に結合し、その動きを阻害するものである。また、アプタマーは様々な疾患に応用できるものが多く、小規模な会社であっても、数多くの新薬の種を保有できる。しかし、その選択性が高い結合力故に、複雑な病理メカニズムの前に挫折を味わうこともあった。リボミックは、過去のアプタマーの挫折の歴史を十分に理解した上で開発を推進している。
RBM-007はブロックバスターの可能性あり
リボミックは、数多くの新薬の種を保有しているが、「選択と集中」を断行した。すなわち、滲出型加齢黄斑変性を対象とした抗FGF2アプタマー:RBM-007に、開発を注力している。滲出型加齢黄斑変性を適応とする抗VGEF薬は、既に1兆円以上の売上げがあるものの、既存薬が奏功しない、あるいは奏功しても薬効が持続しないUnmetMedicalNeedsが高い。RBM-007の市場規模は、4000億円規模のブロックバスターに成長する可能性を秘めている。血管新生抑制のみならず瘢痕形成抑制のデュアル作用を持つ薬剤は他にないため、既存の抗VGEF薬、そのバイオシミラー、また新規の抗VGEF薬とは差別化が図られよう。大胆な前提を置いたうえでの試算値ではあるが、成功確率を30%とおいても、そのパイプライン価値は日米欧で425億円程度と考えられる。
TOFU studyの試験デザインに注目
PhaseⅠ/Ⅱa(SUSHI study)の結果は、安全性・忍容性のほか、薬効も観察できるものであった。しかし、顕著な視力の改善を示すものではなかった。この原因は、試験デザイン(被験者の特性)によるところが大きい。大手製薬会社は、標的と薬理作用の新規性、瘢痕抑制効果に注目している。次のPhase2試験(TOFU study)では、視力の改善を主要評価項目として、視力改善が見込めない患者の組み入れを排除する計画である。リボミックは既に、複数の大手製薬会社と提携協議を継続している。TOFUの結果が判明する頃に提携成立が浮上すれば、大型提携になる可能性は高い。
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