株式会社キャンバス(4575 Mothers)
CBP501概ね開発は順調に進展

2019/08/26

フォローアップレポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

CBP501Ph1b拡大相の患者組入はほぼ予定通り進捗
キャンバスの最も重要な開発品はCBP501(カルモジュリン・モジュレーター)である。2019年8月22日に開催された会社決算説明会で、2018年12月からスタートしているニボルマブ(Nivolumab;商品名オプジーボ)及びシスプラチンとの3剤併用療法である臨床第Ⅰ相後期試験Ph1b拡大相の進行状況が語られた。現在までのところ、すい臓がん及び大腸がん(MSS)ともに、患者組み入れ状況は、目標組み入れ数の半数以上に達しており、当初の目標であった今年12月末までに組入完了に到達できる予定は不変である。患者組入が予定通り完了すれば、2020年前半に中間とりまとめを行い、2020年の学会(ASCOあるいはESMO)で、結果が発表される可能性がある。

用量漸増相と拡大相を合わせた感触は=好感触
拡大相の方は、最初の患者組入が2019年1月10日であり、既に初期に組入れられた患者群は3クールの投与と診断を経過しているとみられる。もちろん、途中経過は非開示であり、部外者に途中経過はわからない。ただし、治験前後の生体検査で、免疫染色を行ったところ、まだ少数のデータだが投与前後の免疫細胞の動きに想定していた作用機序を支持する変化が見られている。また、少数例であり、今後の治験の途上で変動する可能性があるが、「すい臓がん」の方では、用量漸増相と拡大相の途中経過の合算(9例)で、無増悪生存期間(PFS)が3.1ヵ月、最終生存期間(OS)も5.6ヵ月と、他の免疫チェックポイント阻害剤のみの治験と比較して2倍近い生存期間の延長となっている。

進行性のすい臓がんの場合、免疫チェックポイント阻害剤のみでは効果が低い
進行したすい臓がん対象の試験では、免疫チェックポイント阻害剤のみの効果は低く、免疫原性細胞死を惹起する薬剤など他の薬剤との併用治験が望ましいという潮流が浮上している。また、すい臓がんの場合、間質が高密度で含まれており、間質に存在する腫瘍随伴マクロファージ(M2)がサイトカインを放出し、免疫原性細胞死により活性化されたT細胞が不活化されてしまう。CBP-501はシスプラチンとの併用で免疫原性細胞死を誘発するのみならず、マクロファージ(M2)が産生するサイトカインを抑制する効果も持つ。CBP-501の拡大相の好感触と用途特許が日米欧3極で成立したことを背景に、拡大相の途中でも提携活動が進展し、契約に至ることを期待する。

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