株式会社メドレックス(4586 Mothers)
2019年後半以降のイベントに注目

2019/03/04

ベーシック・レポート改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯

ニッチな市場で独自の技術
メドレックス社は、既存の経口薬・注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発し、製薬会社へ導出(ライセンス供与)、マイルストーン収入や上市後のロイヤリティ収入等を獲得するビジネスモデルの会社である。
通常の新薬創薬ビジネスと比較して、既存の薬剤の有効成分をベースにしているため成功確率は高く、ニッチな分野であるため競合も限定され、しかも独自のILTS®技術やNCTS®技術等で差別化されている。

開発の進展状況と今回のファイナンス
有望な開発品4品目のうち、最も開発が進展しているのは、リドカイン・テープ剤であるが、慢性疾患治療薬として長期にわたり連続して使用される可能性があることから、当初想定していたよりも多くの試験をFDAから要求され、試験研究費が拡大する見込みである。導出済みのチザニジン・テープ剤は、反復投与試験の再実施のため、マイルストーン受領が2018年から2019年後半へずれる見込みである。また、最大の価値を持つとみられるオキシコドン・テープ剤も、製剤の吸収性と粘着剤の改良で、反復投与試験は2019年半ば以降になる予定。一方で、2019年の販管費(含む試験研究費、但し、リドカイン・テープ剤の追加試験費用は含まず)は16.5億円(会社計画)で、2018年12月末の現預金残高の17.9億円と同じ水準になる。4品目全体の開発を着実に進捗させるために、今般、早期に実行される予定の資金調達(約12.7億円)を計画したと思料される。

2019年後半以降期待されるイベント
主要開発品4品目のパイプライン価値は、455億円程度と試算される(さまざまな前提条件を置いた上での試算値であることに注意)。現時点時価総額は、49億円前後であり、今般の資金調達(12.7億円)を考慮しても、乖離が大きい。この背景として、前述したような開発の遅延や資金調達不調によるマイクロニードル事業の一時中止が影響しているものと推察される。しかし、2019年後半以降は、Cipla社からのマイルストーン受領、オキシコドン・テープ剤の反復投与試験終了と導出、メガファーマとの共同開発品に関する情報開示などポジティブなイベントの連続が期待でき、市場の評価が変化するカタリストとなろう。

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