米『政府機関の閉鎖』の影響と一般教書演説
米『政府機関の閉鎖』の影響と一般教書演説
米国では、トランプ大統領が求めるメキシコ国境の壁建設の費用を巡って、2019年度予算の約25%が未成立のままとなっています。昨年12月21日には暫定予算も失効し、翌22日から一部の政府機関が閉鎖に追い込まれました。『政府機関の閉鎖』は現在も続いており、過去最長期間を更新しています。この影響は、行政サービスの停滞や一般教書演説の延期の可能性にまで波及しています。 |
【ポイント1】『政府機関の閉鎖』の影響により行政サービスは停滞
連邦政府職員の約80万人の給与が未払い、国民からの不満が高まっている
■一部の『政府機関の閉鎖』で、連邦政府職員の約80万人の給与が支払われていない状態となっており、さらにこの一部は自宅待機ではなく無給で働くことを余儀なくされています。これにより、例えば、商務省や農務省では経済統計などの発表に遅れが生じていたり、運輸保安局では空港などの入国管理手続きに支障が出るなどその影響は多岐にわたっており、国民からの不満が高まっています。
【ポイント2】一般教書演説の延期の可能性も
下院議長は延期若しくは書面の提出を要請するも、大統領はこれに反発
■1月29日には、米大統領が年に1度、内政や外交など今後1年間で重点的に取り組む政策課題について議会で説明を行う一般教書演説が予定されています。
■しかし『政府機関の閉鎖』により、警備を担う大統領警護隊や国土安全保障省の予算が失効していることから、ペロシ下院議長はトランプ大統領に対し、安全面の懸念から一般教書演説を政府機関の閉鎖解除後に延期するか、演説の内容を議会に書面で提出することを要請しました。一方のトランプ大統領はこれに反発し、一般教書演説を予定通り29日に実施する考えを示唆しており、実施の見通しは不確定なものとなっています。
【今後の展開】24日には与野党それぞれの予算案の採決が予定される
■22日、議会上院は24日に与野党それぞれの予算を採決する方針を決定しました。共和党の案は、幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する「DACA」を3年延長する代わりに、国境の壁建設の費用を予算に盛り込むという、トランプ大統領が19日に発表した案が土台となっています。これに対し、民主党は2月8日までの暫定予算を提案しており、この間は国境の壁建設の協議を先送りする形となっています。
■上院の議席数は、共和党が53議席、民主党が47議席と拮抗しています。予算案を可決させるためには定数100票のうち60票が必要で、どちらの案も両党の賛成票が必要です。さらに、上院で可決しても、下院での可決やトランプ大統領の署名が必要で、『政府機関の閉鎖』は長引きそうです。
(2019年1月24日)
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