足元の日経平均下落は押し目の好機なのか?

2018/10/11

連休明けとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は軟調な展開となっています。とりわけ、11日(木)は米国株市場の急落を受けて大幅に下落し、序盤の取引で23,000円台割れを見せました。下げの内容も、利益確定や急ピッチな上昇スピードの調整から、次第にリスク警戒を強めはじているような印象です。株価水準的にも、今週の値動きによって25日移動平均線、75日移動平均線と段階的に切り下げています。

11日(木)の軟調取引の引き金となった前晩(10日)の米国株市場の下落は、NYダウが前日比で831ドル安となり、2月上旬以来の下げ幅だったことが大きなインパクトとなりました。その背景には、米長期金利の上昇傾向で、米株の割高感への意識と金利上昇にネガティブとされる成長ハイテク株が売られたこと、そして米中摩擦の長期化も懸念されたことが加わった格好です。

とはいえ、これらの材料はすでに指摘されていたものばかりですし、とくに目新しいものではありませんが、ここまで株価が下落してしまった理由として挙げられるのは、1月下旬から2月にかけて見せた軟調相場との共通点です。

当時も株価が上昇基調を続け、高値警戒感が意識されていたところに、米長期金利が上昇しはじめて株価の変動率を示すVIX指数が急上昇したことをきっかけに、いいところ取りの「適温相場」が揺らいで売りが勢いを増しました。つまり、株価の割高感と悪材料の再認識による調整と言えます。今回の下落も同じと捉えるのであるならば、足元の株価下落を「絶好の押し目買いの好機」と考えることができますが、少し注意が必要かもしれません。

前回の株価下落の後も相場の重石となり続けた米中摩擦の状況は着実に悪化していますし、長期金利の動向もまだ落ち着いていません。また、米株上昇の牽引役を担っていたのは、「FANG」といった言葉に代表される一部のハイテク銘柄群ですが、資金がこれらの数少ない銘柄に多く集まってきたと思われ、今回の株価下落によって痛手を被っている投資家は多いと思われます。そのため、株価下落が一服したとしても、ダメージから回復するまでに時間が掛かる可能性があります。

まもなく国内企業の決算発表シーズンが本格化しますが、一足早く決算を発表した安川電機は、半導体投資の減速や中国市場の弱含みを理由に業績見通しを下方修正し、株価は下落で反応しています。想定為替レートを105円から110円に円安にしたにも拘らず、業績見通しを下方修正したのは、これまでの「米中摩擦などの不安はあるものの、円安傾向を受けて業績の上振れが期待できる」という見方に水を差す形になるためネガティブ材料と言えます。その一方で、海外事業が伸びたABCマートは、好決算を受けて株価が大きく上昇しており、銘柄物色は「好業績で買えるもの」を個別に選別化していくという動きが中心となりそうです。

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