『オフィスビル空室率』は8月は小幅な上昇

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『オフィスビル空室率』、平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃に公表しています。2012年には9%台であった空室率は3%台まで低下し、平均賃料は上昇基調となりました。ただ3%台と極めて良好な空室率にもかかわらず、平均賃料は緩やかな上昇にとどまっています。2018年以降の新築ビルの大幅供給増を控え、今後の空室率と平均賃料の動向が注目されます。

【ポイント1】 8月の都心5区の空室率は3.35%

既存ビルの解約の影響が大きく前月比上昇

 

■9月7日に発表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の8月の『オフィスビル空室率』は、前月比+0.13%ポイントの3.35%となりました。空室率は、2016年9月以降、3.6~3.7%台で推移していましたが、4月に大幅に低下した後、5月以降は低下が一服しています。都心5区の中でも、 新宿区は1.65%、渋谷区は2.17%と極めて良好な水準となっています。

■8月は、大規模ビル1棟を含め、新築ビルが満室や高稼働で竣工しましたが、大型空室の募集開始や新築ビル移転に伴う既存ビルの解約の方が影響が大きく、全体の空室率は上昇に繋がりました。

 

 

 

【ポイント2】 平均賃料は44カ月連続の上昇

緩やかな賃料上昇が続く

 

■8月の都心5区の平均賃料は、坪当たり18,957円でした。前年同月比+3.47%、前月比+0.22%となりました。平均賃料は44カ月連続の上昇となります。

■新築ビルの8月の平均賃料は前月比では▲1.33%、前年同月比では▲3.66%と大幅下落となりました。新築ビルの『オフィスビル空室率』は、昨年10月以降上昇傾向にありましたが、8月は前月比で▲6.50%ポイントと大幅に低下しました。大規模ビル1棟を含め、新築ビルが満室や高稼働で竣工したためと考えられます。

■既存ビルの『オフィスビル空室率』は前年同月比では▲0.50%低下しましたが、前月比で+0.18%ポイント上昇しました。

 

 

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【今後の展開】 当面は『オフィスビル空室率』の低水準が続く見込み

 

■2018年以降の新築ビルの大幅増を控え、8月の大規模ビルの竣工の影響が注目されましたが、新築ビルへの強いニ-ズとともに、既存ビルの空室率への影響も確認される結果となりました。

■2017年内は供給も限定的であるため、当面空室率は、低水準で推移すると見込まれます。2018年以降の新築ビルの供給増は空室率に徐々に影響し始めると見られますが、日本では金融緩和政策が続き、低水準の長期金利と企業の根強いオフィスビルへの需要が空室率の下支え要因になると考えられます。

 

(2017年 9月 11日)

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