『トランプ大統領』の米国株式市場への影響
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米国では内外で政治的な緊張が高まる中、『トランプ大統領』の政治基盤や政策運営は依然不透明なままです。『トランプ大統領』の就任から半年余りが経過しましたが、目玉政策の一つである医療保険制度改革(オバマケア)の見直しもいまだ実現できていません。それでも米国株式市場が堅調に推移しているのはなぜでしょう。 |
【ポイント1】政治的に安定しているとは言い難い状況が継続
■米国では内外で政治的な緊張が高まっています。対外的には、イランや北朝鮮がロケットやミサイルを発射し、米国が反発しています。ロシアに対しては昨年の大統領選挙に介入したとして経済制裁を強化する法案が成立する見込みです。国内では、オバマ前政権が導入した医療保険制度改革(オバマケア)の見直しがいまだに実現していません。また、ホワイトハウスを束ねる閣僚級のプリーバス首席補佐官を更迭するなど、今年1月の政権発足以来、政権幹部を3名も交替させています。政治的に安定しているとは言い難い状況にあります。
【ポイント2】経済に影響を与える政策が決定されていない
米国企業の利益に悪影響なし
■『トランプ大統領』の政治基盤や政策運営の不透明感が強いにもかかわらず、株式市場は史上最高値を更新し続けるなど、堅調に推移しています。
■『トランプ大統領』になってから、目立った政策が決定されていないため、米国経済に対する影響がほとんど現れていないことが考えられます。このため、米国企業の利益成長に悪影響を及ぼしていません。また、世界経済が、中国や欧州、日本経済の上振れにより緩やかな回復局面にあることも米国株式市場を下支えしていると考えられます。
【今後の展開】貿易交渉の行方に注目
■こうした中、8月16日からカナダ、メキシコと結んだ北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉がスタートします。NAFTAの再交渉では、米国に有利になるような内容の修正や、為替操作とそれを防ぐための仕組みについて協議すると見られます。
■これまで成果が限定されてきた『トランプ大統領』にとって、貿易赤字の縮小や雇用の拡大などに結び付くような内容となれば、『トランプ大統領』の信認回復に結び付く可能性があります。米国株式市場も、利益の拡大につながる内容であればプラス要因となりそうです。
(2017年 7月 31日)
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