堅調なファンダメンタルズと脆弱な日本株、基底に円高をもたらした中国危機が
【ストラテジーブレティン(163号)】
(1) フラストレーティングなリスクテイク環境
波乱の日本株式
ファンダメンタルズに基づく投資家にとって、フラストレーションが高まる市場が続く。景気実態は素晴らしくはないが、悪くはない。年後半先進国世界経済は米国も、日本も欧州も着実な回復過程、いやむしろ緩やかに成長率が加速していくことが想定される。また失業率は米日独など主要先進国では完全雇用状態に近く、企業収益も過去最高水準にある。さらに株式バリュエーションは、歴史的に低下している国債利回りとの比較で著しく魅力的である。加えて中央銀行の金融政策はリスクテイクに限りなくフレンドリーである。となれば文句なく株式投資の魅力度が高まるはずなのに、株式市場は波乱気味、特に日本株式は著しく低迷し、異常な乱高下を繰り返し、鉄火場の色彩を強め、多くの投資家の足を遠のかせている。年初来の株式騰落率は日本(TOPIX)-18%、米国S&P+1.4%、英国FTSE100-3.7%、ドイツDAX-10.3%と日本株式一人負けが顕著になっている。当面はBREXIT(英国のEU離脱)が最も懸念されている材料であるが、当の英国株価はむしろ堅調である。
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