米国の雇用統計(2015年7月) ~労働市場は改善基調を持続~
米国の雇用統計(2015年7月) ~労働市場は改善基調を持続~
【ポイント1】雇用者数は21.5万人増
失業率は前月比横這いの5.3%
■7月の非農業部門雇用者数は前月比21.5万人の増加となりました。市場予想(ブルームバーグ集計)の同22.5万人増をやや下回りましたが、過去2ヵ月分が合計で1.4万人ほど上方修正されたことを踏まえると、ほぼ事前予想並みだったと評価できます。
■一方、7月の失業率は前月比横ばいの5.3%でした。景気の拡大とともに労働供給は増加したものの、それとほぼ同じペースで需要が拡大したことが、失業率の上昇を抑制しました。
【ポイント2】サービス部門の雇用が好調
賃金上昇率は前月比+0.2%増
■非農業部門雇用者数のうち民間部門は前月比21.0万人の増加でした。このうちサービス部門が同19.3万人増と引き続き雇用の拡大をけん引しています。なかでも個人消費の拡大を背景に小売業や輸送業などの雇用増が目立ちました。
■時間当たり賃金は前月比+0.2%増となり、前月の横ばいから加速しました。前年比でも+2.1%と、前月の同+2.0%から小幅ながら伸び率が拡大しました。労働需給の改善を受けて、賃金上昇率は今後、一段と高まる見通しです。
【今後の展開】9月利上げの可能性が高まるが、利上げのペースは緩やか
■7月28日~29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、労働市場が「もう少し」改善すれば利上げを実施するとされました。9月8日公表予定の8月の雇用統計が引き続き良好な内容であれば、9月16日~17日開催のFOMCで利上げが実施される可能性が高まる見込みです。
■もっとも、物価が落ち着いているため、利上げが開始されても、そのペースは緩やかなものにとどまる見通しです。雇用統計発表後の株式市場は利上げ観測が強まり下落しましたが、急激な引き締めが行われる公算が小さいことから、徐々に落ち着きを取り戻すと予想されます。
(2015年8月10日)
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