オンコリスバイオファーマ株式会社(4588 Growth)
テロメライシン 「通常承認」による薬価を期待
フォローアップ・レポート
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯
テロメライシン® 「通常承認」の可能性
オンコリスバイオファーマの主力開発品(OBP-301)は、テロメライシン®という遺伝子を改変した腫瘍溶解ウイルスである。オンコリスバイオファーマ独力での製品化に向けて、国内においては食道がんに絞って、臨床開発を推進し、2025年12月に承認申請に至った。今後、順調にいけば、2026年5月部会での審議と答申、6月承認取得、8月薬価収載・上市が実現する。次の注目点は、他の再生医療等製品のように「期限及び条件付き承認」となるのか、「通常承認」となるかである。OBP-301の場合、「期限及び条件付き承認」となって、市販後臨床試験を行うこととなった場合、承認申請に用いたPivotal試験と同じ規模の試験となり、市販後臨床試験を行う意義が問われるため、「通常承認」となる可能性がある。「通常承認」となることにより、市販後臨床試験が不要になるだけでなく原価計算方式での通常の営業利益率の適応の他、「有用性加算」も加わるため高薬価が期待できる。また、海外の提携候補先も、日本での承認状況を注視している。
承認・上市後の展開にも死角なし
再生医療等製品の場合、上市後の安定供給と販促戦略が、承認に向けての課題となるが、前者に関しては、既に長期の安定性試験を通過した製剤を順次出荷する計画が立案されている。また、販促戦略はオンコリスバイオファーマのメディカル・アフェアーズと販社である富士フイルム富山化学の両社で立案し、販社のMRが販促を担当する体制が整備されているため、オンコリスバイオファーマが販促のために多額の費用をかける必要は無い。将来的には国内300施設以上をターゲットとして販促活動が行われる計画である。また、Key Opinion Leaderと「食道がん局所療法研究会」を立ち上げ、テロメライシンのブランディング確立に動くなど、効能拡大のための布石を打っている。食道がん以外にも、下部直腸/肛門がんへの効能拡大のための試験が年後半に開始される予定である。さらに、食道がん患者が多く、日本の承認データを利用して承認が獲得できるアジアでの展開を狙い、提携候補先との交渉も始めている。
脳神経変性疾患薬OBP-601 複数のピボタル試験が開始予定
OBP-601は選択的スプライシングを制御しLINE-1の生成を抑制するLINE-1阻害剤である。2024年10-12月期には、導出先のトランスポゾン社によって、PSPやC9-ALSといった神経変性疾患でのPhase2a試験で有効性/安全性が確認されている。トランスポゾン社ではPSPを対象としたPhase3(Pivotal試験)のための資金調達を2026年上期中に完了させる見込みで、調達完了後、速やかに試験開始の予定である。また、 ヒ―リーALSプラットフォームを活用し、C9-ALS以外のALSも含んだALS全般を対象とした大規模なPhase2/3(Pivotal試験)を2026年内に開始する予定である。一方、アルツハイマー病を対象としたPhase2試験については提携候補先のメガファーマから、高用量での試験も期待されており、デザインの見直し等から、PSPやALSよりも開始時期は先になりそうだ。PSPとALSのPivotal試験の開始により、トランスポゾン社からオンコリスバイオファーマへのマイルストーンが発生する見込みである。また、これまでの成果やアルツハイマー病への対象拡大で、トランスポゾン社への注目が一層高まっており、CNS領域を物色している大手製薬会社のM&Aやライセンス契約等の対象となることも考えられる。これらのコーポレートアクション発生の場合、オンコリスバイオファーマへ想定外のマイルストーンが発生する可能性があることにも引き続き留意しておきたい。
- 「ANALYST NET」のブランド名で発行されるレポートにおいては、対象となる企業について従来とは違ったアプローチによる紹介や解説を目的としております。株式会社ティー・アイ・ダヴリュは原則、レポートに記載された内容に関してレビューならびに承認を行っておりません。
- 株式会社ティー・アイ・ダヴリュは、本レポートを発行するための企画提案およびインフラストラクチャーの提供に関して、対象企業より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。
- 執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、本レポートを作成する以外にも、対象会社より直接的または間接的に対価を得ている場合があります。また、執筆者となる外部の提携会社及びアナリストは、対象会社の有価証券に対して何らかの取引を行っている可能性あるいは将来行う可能性があります。
- 本レポートは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、有価証券取引及びその他の取引の勧誘を目的とするものではありません。有価証券およびその他の取引に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任で行ってください。
- 本レポートの作成に当たり、執筆者は対象企業への取材等を通じて情報提供を受けておりますが、当レポートに記載された仮説や見解は当該企業によるものではなく、執筆者による分析・評価によるものです。
- 本レポートは、執筆者が信頼できると判断した情報に基づき記載されたものですが、その正確性、完全性または適時性を保証するものではありません。本レポートに記載された見解や予測は、本レポート発行時における執筆者の判断であり、予告無しに変更されることがあります。
- 本レポートに記載された情報もしくは分析に、投資家が依拠した結果として被る可能性のある直接的、間接的、付随的もしくは特別な損害に対して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュならびに執筆者が何ら責任を負うものではありません。
- 本レポートの著作権は、原則として株式会社ティー・アイ・ダヴリュに帰属します。本レポートにおいて提供される情報に関して、株式会社ティー・アイ・ダヴリュの承諾を得ずに、当該情報の複製、販売、表示、配布、公表、修正、頒布または営利目的での利用を行うことは法律で禁じられております。
- 「ANALYST NET」は株式会社ティー・アイ・ダヴリュの登録商標です。

