GCC経営™分析レポート:株式会社アクアライン(東証グロース 証券コード:6173)
上場廃止の危機を乗り越えた先のアップサイド JPR長期推計:2036年売上137億円・上場維持した場合の10年成長を織り込んだ理論株価879円
ベーシックレポート
ジェイ・フェニックス・リサーチ(株)
宮下修
加盟店モデルで日本の暮らしを守る生活サービスプラットフォームへ
株式会社アクアライン(以下、アクアライン)は、「水道屋本舗」ブランドで水まわりトラブルの緊急対応サービスを全国展開する企業である。2026年2月期は売上高20億円・営業損失3億円と厳しい業績が続き、継続企業の前提に関する重要事象等の記載が存在、純資産△2.12億円の債務超過状態にあるものの、抜本的な構造改革と2度にわたるエクイティファイナンスにより経営再建が進行中である。2025年5月の株主総会で経営陣を一新し、コンプライアンス・法務セクション創設、経営監査部格上げ等の組織体制強化を実行した。同社が目指すのは、「水道職人プラットフォーム戦略」である。これは、自社で修理作業員を雇用するのではなく、加盟店に顧客を紹介し手数料を得るプラットフォームモデルであり、固定費削減と利益弾力性向上を同時に実現する事業モデルだ。なお、当社の株主としてJBRが存在し、榊原暢宏氏は当社の理解者である株主である。改革の成果は既に表れ始めている。月次営業損失は第1四半期の月平均54百万円から第2四半期には月平均17百万円まで縮小し、12月・1月には月次黒字化の可能性も見えてきた。2025年12月の第三者割当増資(DESおよび新株予約権)について、DESを約1億円、新株予約権を当初行使価格188円×170万株(約3.2億円)と置くと、調達額の目安は合計約4.2億円程度となる(株価および行使状況により増減)。債務超過解消と上場維持基準達成を目指す。ただし、新株予約権の行使が計画通り進まない場合は上場廃止リスクが顕在化する。JPR予想では、上場廃止確率は15~25%と推定しており、上場維持達成を前提に2036年2月期には売上高137億円・営業利益率17%・ROIC48%の達成を試算(JPR推計)しているが、債務超過未解消、入電数回復失敗、加盟店ネットワーク再構築リスク等が実現可能性に影響を与える。なお、上場維持基準(純資産、流通株式比率、流通株式時価総額等)の達成とは別に、特別注意銘柄指定解除の審査があり、1月末の審査において内部統制が機能しているか否かにより、指定解除、上場廃止、または保留(再度審査)となり得る。本レポートでは、水道職人プラットフォーム戦略の実現可能性を評価する。
債務超過解消を起点とした成⾧ストーリー復帰の好循環シナリオ
JPRは、上場廃止の危機を乗り越えれば、アクアラインが短期的な好循環サイクルに入る可能性を予想する。2026年2月期は売上20億円・営業損失3億円だが、構造改革の成果は確実に現れている。広告宣伝費は年間約14億円から約9億円へと約5億円削減され、月次損失は大幅に縮小した。加盟店モデルへの転換により固定費が変動費化され、売上減少局面でも損失抑制しやすい収益構造への転換が実現した。2025年12月の第2回新株予約権(170万株分)が計画通り行使されれば、2026年2月末までに純資産プラス転換が達成される可能性がある。債務超過解消と上場維持基準達成が実現すれば、継続企業の疑義が後退し得る。一方で、特別注意銘柄指定解除は別途、1月末に予定される内部統制の審査結果(指定解除、上場廃止、保留〈再度審査〉)に左右される。これにより投資対象として検討すべき水準に到達し、株価上昇と流動性改善が期待される。次の成⾧機会へと繋がる好循環が形成される可能性が十分ある。ただし、このシナリオは2026年2月末の債務超過解消が大前提である。
上場維持達成と成⾧ストーリー復帰によるアップサイドの可能性
上場維持ができ、上記で示したシナリオが実現していけば、JPR推計による2036年までの成⾧価値を織り込んだ理論的時価総額は約84.1億円と試算された。2025年12月に第2回新株予約権を発行し、債務超過解消と成⾧投資に充当する計画である(会社発表)。希薄化後の発行済株式数(約956万株)を考慮したJPR試算の理論株価は879円となり、現在株価217円から約4.05倍の上昇余地が存在する。会社は2026年2月末の債務超過解消を目指しており、加盟店モデルによる固定費削減、訪問あたり売上高の向上、24時間コールセンター機能の水まわり以外への展開を計画している。会社の中期計画では2028年2月期に売上高42億円・営業利益5億円を目標としている。なお、JPR試算に用いた9.45%の資本コストは債務超過解消後の「正常時」の⾧期均衡値を前提としており、現状の財務リスク・特別注意銘柄指定を考慮すれば実態の資本コストは12~15%以上と推定される。この乖離は投資判断において重要な考慮事項である。上場廃止リスクを考慮すると、リスク許容度の低い投資家には適さない可能性がある点に留意が必要である。
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