ベネズエラ情勢と金融市場の受け止めについて

2026/01/06

ベネズエラ情勢と金融市場の受け止めについて

  • 米国はベネズエラで軍事行動へ、背景には同国での石油利権確保などの狙いがあると推測される。
  • 週明け5日の世界の金融市場は総じて落ち着いた反応を示し、日米欧の主要株価指数は上昇。
  • 米軍事行動が金融市場に与える目先の影響は限定的、ただ今後の中国とロシアの動向に注意。

米国はベネズエラで軍事行動へ、背景には同国での石油利権確保などの狙いがあると推測される

トランプ米大統領は1月3日、南米ベネズエラでの軍事行動に踏み切り、マドゥロ大統領を麻薬テロなどの犯罪容疑で拘束し、記者会見で「安全で適切かつ賢明な政権移行が実現するまでその国(ベネズエラ)を運営していく」と述べました。今回の軍事行動の背景には、ベネズエラでの石油利権確保、中南米を中心とした「西半球」の安全保障政策の強化、米中間選挙をにらんだ支持率の回復などの狙いがあると思われます。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国のベネズエラは、世界最大の石油埋蔵量を有し、1970年代は世界の産油量の7%超を占めていましたが、設備の老朽化などが響き、直近では1%程度まで落ち込んでいます。トランプ氏は、米石油大手が数十億ドルを投じてベネズエラの石油インフラを修復するとしていますが、仮にベネズエラの政情が安定し、米資本が投下されても、実際に原油生産が軌道に乗るまでには、かなりの時間を要する見通しです。

週明け5日の世界の金融市場は総じて落ち着いた反応を示し、日米欧の主要株価指数は上昇

ベネズエラでの米軍事行動を受けた週明け1月5日の世界の金融市場は、総じて落ち着いた反応となりました(図表)。日米欧の株式市場では、主要株価指数が上昇し、年明け最初の取引となった日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は、昨年末比でそれぞれ2.97%、2.01%上昇しました。日本株は半導体関連の主力株に買いが膨らんだほか、防衛や資源関連にも物色が広がり、米国株は石油関連株の上昇が目立ちました。

債券市場では、日本の10年国債利回りが円安を背景に日銀の利上げペースが速まるとの観測などから上昇した一方、米国の10年国債利回りは企業景況感の悪化などを受けて低下しました。為替市場では、日本円が米ドルとユーロに対して上昇、英ポンドと豪ドルに対して下落と、まちまちな展開となり、WTI原油先物価格と金先物価格は、地政学リスクの高まりなどから上昇しました。

米軍事行動が金融市場に与える目先の影響は限定的、ただ今後の中国とロシアの動向に注意

一般に、地政学リスクが金融市場に与える影響を考えるにあたっては、そのリスクが、①紛争が周辺諸国を巻き込んで広がりをみせるものか、②主要国の金融システムに深刻なダメージを与えるものか、この2点を確認することが重要なポイントになります。今回のケースは、周辺諸国に紛争が広がる恐れは小さく、銀行間の資金取引が急速に細り、流動性が枯渇するような展開は想定しがたいように思われます。

以上を踏まえると、今回は①、②ともあてはまらないため、金融市場に与える目先の影響は限定的と考えられ、1月5日の金融市場の反応はおおむね合理的と思われます。なお、弊社はベネズエラの主要な支援国である中国とロシアの動向に注目しており、ベネズエラでの米軍事行動が、結果的に、世界的な地政学リスクの上昇や、主要国の防衛費拡大の動きにつながり得るか、注意する必要があると考えています。

 

 

 

 

(2026年1月6日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
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