来週の金融市場見通し(2025年10月6日~2025年10月10日)
■来週の見通し
米国では10月からの新会計年度の歳出をまかなうための「つなぎ予算」が成立せず、1日から政府機関の一部が閉鎖しています。政府閉鎖が米国内総生産(GDP)を押し下げる可能性があります。市場では、米景気の減速を受けて米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げに踏み切るとの観測が強まっています。政府閉鎖の影響で3日の米雇用統計発表が見送られる公算が大きい状況です。来週は、米国のつなぎ予算をめぐる動向に加え、自民党新総裁の政策などを確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :自民党総裁選を受けて、荒い動きか
今週の日本株は、底堅い動きとなりました。米政府機関の一部閉鎖が決まったことが株価の重しとなりましたが、人工知能(AI)普及の恩恵を受けるとみられるソフトバンクグループの上昇が牽引し、やや買いが優勢となりました。
来週は、自民党総裁選を受けて、荒い動きとなる可能性があります。今週末に自民党新総裁が決まります。小泉氏が勝利する可能性が高いと予想されていますが、仮に高市氏や林氏が勝利した場合、市場の反応が大きくなることが想定されます。新しい総裁の経済政策の方針や人事が相場を動かす材料となる可能性があります。また、米国の政治動向も注目です。予算をめぐる交渉が進展し、政府機関が再開すると、株式市場は好感することが予想されます。
◆長期金利 :自民党新総裁にらみ
今週の長期金利は、FRBの利下げ継続が意識され、米長期金利が低下したことを受けて一旦低下したものの、日銀による利上げが意識される中、10年国債入札が低調な結果になったことなどから上昇する動きになりました。
来週は自民党総裁選の結果に左右される可能性があります。財政拡張に積極的な人物が新総裁に選出されると、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。一方、財政規律を重視する人物が選出された場合には債券市場に安心感が広がり、長期金利の上昇が抑制されることも想定されます。また、米政府機関の一部閉鎖が米経済の混乱につながりかねないとの懸念から相対的に安全資産とされる米国債への買いが広がり、米長期金利が低下すると、若干ながらも国内金利にも低下圧力がかかる可能性があります。30年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :方向感を探る
今週のJリート市場は、引き続き半期決算を控えた金融機関からと思われる売りや東証REIT指数(配当なし)1,950ポイント付近で戻り売りが見られたことから下落しました。今週末の分配金利回りは4.719%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、自民党総裁選の結果や長期金利の動向を確認しながら、方向感を探る展開を見込んでいます。自民党新総裁が打ち出す経済政策や連立政権樹立に向けた野党との連携の行方次第で、財政拡張懸念から長期金利が上昇する可能性があり、その場合はJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台後半の分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:値動きの荒い展開
今週のドル円相場は、ドル安・円高が進行しました。週初は、利上げの必要性の高まりに言及した野口日銀審議委員の講演を受けて、日銀の追加利上げ観測が高まったことから、円高圧力が強まりました。その後は、米政府機関の閉鎖を受け、ドルを手放す動きが広がり、一時1ドル=146円までドル安・円高が進行しました。週末にかけては、植田日銀総裁の講演が想定以上に利上げに慎重であったことから、やや値を戻しました。
来週のドル円相場は、値動きの荒い展開が予想されます。今週末に実施される自民党総裁選の結果次第で、大きく変動する可能性があります。また、米国については、経済指標の発表が延期されるなかで、手掛かりの乏しい展開が続きそうですが、政府機関の再開の目途が立てば、ドルを買い戻す動きが広がる可能性があります。
◆米国株 :米政治動向に注目
今週の米国株は、底堅い動きとなりました。政府機関の一部閉鎖が決まったことが株価の重しとなりましたが、労働市場の減速を示唆する経済指標の発表を受けて米利下げ期待が高まったことが株価を押し上げました。半導体関連株は、AI普及の恩恵を受けるとみられるエヌビディアなどが上昇し、堅調な動きとなりました。
来週は、米政治動向が注目されます。政府機関の一部閉鎖が決まったことで、雇用統計などの重要な経済指標の発表が遅れる見込みです。重要な経済指標が発表されない状況が続くと、様子見姿勢が強まり、相場の動きは限定的になることが予想されます。仮に、共和党と民主党の予算交渉が進展し、政府機関の閉鎖が収束する見通しとなれば、投資家心理が改善し、株価を押し上げる可能性があります。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(9月) 10月8日(水)発表
景気ウォッチャー調査によると、8月の現状判断DI(ディフュージョン・インデックス)は、前月差+1.5ポイントと4か月連続で上昇しました。猛暑の影響で夏物消費が好調だったほか、堅調なインバウンド需要が景況感の追い風になりました。
9月の現状判断DIは弱含む見込みです。所得・雇用環境の緩やかな改善が続いているものの、食料品を中心とする物価高が重しとなり、景況感の改善が一服するとみられます。
米ミシガン大学消費者マインド指数(10月、速報値) 10月10日(金)発表
9月の米ミシガン大学消費者マインド指数は55.1と2か月連続で低下し、4か月ぶりの低水準となりました。関税政策による物価高への懸念に加え、労働市場の減速が、消費者マインドを下押ししたとみられます。
10月の消費者マインド指数は悪化することが予想されます。関税政策による物価高への懸念がくすぶる状況が続くほか、米政府機関の閉鎖による公的サービスの停止や社会保障給付の遅れなどが、消費者マインドの下押しに作用する可能性があります。
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