再度顕在化した日本株持たざる恐怖、FOMO
【ストラテジーブレティン(386号)】
市場最高値更新、5ヶ月で47%の急騰
トランプ関税ショックによる2割暴落の大底31200円(4月9日)から5か月後の今日、誰が47%増の45800円(9月19日)を予想しただろうか。政局の混迷が続いているにもかかわらず、日本株式の史上最高値更新が続いている。ここまで上昇してもなお、日本株は極端な割安状態にあり、更なる上昇の始動と見ることができる。この趨勢は自民党新総裁が市場が期待する高市氏はもとより、小泉氏であっても変わるまい。小泉氏には、岸田内閣で「新しい資本主義」戦略を推進した木原氏がプレーンとしてついている。
日本株式は配当利回りだけで2.4%、PERの逆数である益回りは5.7%と国債利回りを大幅に上回り、超割安の状態にある。それなのに日本の家計の1624兆円の金融資産運用(年金保険の積立金を除く)は68%が利息ほぼゼロの現預金に預けられ、株式と投信はわずか25%にとどまっており著しく非理性的運用態度だと言える。ちなみに米国は94.5兆ドルの家計運用金融資産(年金保険の積立金を除く)の74%は株式と投信で、現預金は16%に過ぎない。今、この日本人のリスク回避に凝り固まった非理性的運用姿勢に深刻な反省が巻き起こっている。
ある投資家からのメッセージ
あるラジオ番組のリスナーから次のようなメッセージを頂いた。「いつも聞いています。武者代表のコメントはいつも納得させられます。私はパート収入月8万円程度、年金が同じく月額で10万円弱ですが、配当金収入は税引き後で月額20万円です。株式投資を本格的に始めて20年ですが、20年前株式投資を決断した自分自身に感謝しています。去年8月の日銀植田ショック、コロナショック、リーマンョック時は1日で200万円以上下落しましたが、それでも投資を続け配当金収入が給与収入を上回ることが出来ました。給料が上がらない、などと愚痴をこぼす前に投資を実行し所得を増やすことを考えたほうがいいのでは。」
この方が毎月税込み24万円の配当を得ているということは、年間配当額は288万円であり、東証平均配当利回り2.4%から逆算すると1億2000万円の投資元本をお持ちと推計される。20年前の日経平均は12,000円であったから、今日までに株価は3.75倍上昇した、つまり20年前の投資元本は3200万円であったと計算できる。では20年前から今日まで、預金だけで運用を続けていたなら3200万円の投資元本はそのまま、毎月の利息収入もほぼゼロである。この株式運用が分かつ著しい富と所得の格差は、家計だけに止まらない。外国人、年金・保険、企業にも言えることで、日本国民全てが直面している現実である。
まさしくFOMO(Fear of Missing Out=株価上昇に取り残される恐怖)を日本人が抱かざるを得なくなっている。日本株のばかげているほどの割安さにようやく人々は気づき、日本株を持たざるリスクを真剣に考えざるを得なくなっている。それは巨額の投資資金が日本株式に向かって奔流を始めることを意味する。
各投資主体の状況を概観してみよう
1)最大の投資主体であった外国人投資家は昨年来世界主要市場で最も値上がりした日本株比率を高めるどころかほぼすべてを売ってしまった。植田ショック時の昨年8月から今年4月までに12兆円を売り越し今慌てて買い戻しているが、ようやく売却分の半分が買い戻されたところである。
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