来週の金融市場見通し(2025年4月28日~2025年5月2日)
■来週の見通し
トランプ米大統領が対中関税をめぐって「かなり下がる」と説明したことを受けて、米中摩擦が緩和に向かえば、米景気や企業業績の見通しが改善するとの期待感が高まりました。さらにトランプ氏はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長についても解任するつもりはないと話し、FRBの独立性が損なわれて金融市場が不安定化するとの警戒が緩和しました。ただ、米中貿易交渉をめぐる警戒感は依然残ります。来週は担当閣僚による2回目の日米関税交渉に加え、決算発表や日銀会合なども確認したいところです。
◆株価 :荒い値動きか
今週の日本株は、上昇しました。トランプ大統領が、パウエルFRB議長の解任に再三言及したことから、米国の金融市場が不安定化するとの懸念が強まり、売りが優勢となる場面もありましたが、その後同大統領が議長の解任を否定したことで、株価は反発しました。また、トランプ政権が対中関税の引き下げを検討しているとの報道も株価の上昇要因となりました。
来週の日本株は、荒い値動きになると見込まれます。国内外の主要企業の決算発表が本格化するほか、日銀金融政策決定会合、国内総生産などの米経済指標の発表が予定されており、重要イベントが目白押しです。結果を受けて、株価は乱高下する可能性があります。とくに、半導体関連株は、東京エレクトロンなどの決算を受けて、値動きが激しくなる可能性があり注意が必要です。
◆長期金利 :方向感を探る
今週は、米中貿易摩擦やFRBの独立性をめぐる警戒感が和らぎ、安全資産とされる国債が売られ、長期金利は上昇する動きになりました。米国側が円安の是正を強硬には求めないとの思わくから日銀の早期利上げ観測が後退し、一旦低下しましたが、4月の都区部消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことなどから、再び上昇に転じました。
来週は、米中貿易摩擦をめぐる動向や日米関税交渉、また日米の金融政策への思わくに振らされながら、方向感を探る展開になりそうです。日銀会合は現状維持の見込みですが、「展望レポート」でインフレ見通しが引き上がると長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。ただ、景気の先行き不透明感が強い中、慎重に利上げを検討するとみられ、金利上昇は限定的になりそうです。
◆Jリート :押し目を探る
今週の J リート市場は、週前半は前週からの流れを引き継ぎ徐々に値を切り上げました。その後、米中両政府の相互関税措置について現行の措置より緩和される観測が高まったものの、戻り売りに押されて下落しました。今週末の分配金利回りは 5.108%(東証上場 REIT の予想分配金利回り、QUICK 算出)でした。
来週は、日米長期金利の動向や米関税政策の影響をにらみながら、押し目を探る展開となることが見込まれます。東証REIT指数(配当なし)が1,700ポイントを超える水準では引き続き一定の売り圧力が見込まれますが、米国政府が対中関税措置について交渉姿勢を軟化させる動きを見せていることは安心材料です。また、5%超の予想分配金利回りに着目した一定の買いがJリートを下支えすると想定しています。
◆為替:上値重い
今週は、トランプ大統領の米連邦準備理事会(FRB)への利下げ要求やパウエルFRB議長の解任の可能性についての言及などを受けて、米国への信頼が大きく揺らいだことで、ドル円は一時140円割れまで下落しました。その後はトランプ大統領がパウエル議長解任の可能性について否定したことや米中貿易戦争の緊張が若干和らいだことなどから週末にかけやや戻しました。
トランプ政権の関税政策や米中貿易戦争の先行き不透明感が続く中、米国だけでなく世界的な景気減速が懸念されており、来週もリスク回避の動きが優勢になるとみられます。そのような環境下、安全通貨とされる円に資金が流入しやすい地合いは続きそうなことから、ドル円は上値の重い展開が見込まれます。
◆米国株 :荒い値動きか
今週の米国株は、堅調な動きとなりました。トランプ大統領が、パウエルFRB議長の解任に再三言及したことから、米国の金融市場が不安定化するとの懸念が強まり、週初は売りが優勢となりました。ただ、その後同大統領が議長の解任を否定したことや、同政権が対中関税の引き下げを検討しているとの報道を好感し、株価は反発しました。
来週の米国株は、荒い値動きになると見込まれます。アップルなど米主要企業の決算発表が本格化するほか、国内総生産などの米経済指標の発表が予定されており、重要イベントが目白押しです。関税政策を受けた業績の悪化を市場はある程度織り込んできており、決算が市場予想を上回ると、株式市場は好感するとみられます。
■来週の注目点
消費動向調査(4月) 5月1日(木)発表
消費動向調査によると、3月の消費者態度指数は前月差-0.7ポイントと4か月連続で低下し、2023年3月以来の低水準となりました。食料品を中心とする物価高などを背景に暮らし向きに関する指数が低下するなど、消費者マインドの低迷が続いています。
4月の消費者態度指数は足踏みが続くと予想されます。今年の賃上げへの期待が強まる一方、米国の関税政策をめぐる不透明感やそれを受けた株価下落が重しになるとみられます。
米雇用統計(4月) 5月2日(金)発表
米雇用統計によると、3月の非農業部門雇用者数は前月差+22.8人増と、前月(同+11.7万人増)から加速しました。悪天候により雇用が下押しされていた反動などから、娯楽・宿泊などを中心にサービス部門の雇用者数が大きく増加しました。
4月の非農業部門雇用者数は前月差+13.0万人増、失業率は4.2%、平均時給は前月比+0.3%増程度を想定しています。トランプ政権下で進められている連邦政府職員の削減が公的セクターの雇用を下押しする可能性がありますが、関税政策を受けた雇用調整の動きは4月時点では限定的とみられます。
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