相場の堅調さと見通しの不透明感

2025/02/14

今週の株式市場ですが、これまでのところ、日経平均は地味ながらも反発基調を辿っています。

こうした値動きを日足チャートで確認すると、週初の10日(月)は200日移動平均線をサポートにして反発、そして、13日(木)の取引では、いわゆる「窓」空けで一段高となり、39,000円台の回復と、25日移動平均線を上抜ける格好となっています。

とりわけ、13日(木)は、前晩に発表された米1月CPI(消費者物価指数)がインフレの加速を示唆する結果となり、米国株市場ではNYダウとS&P500が反落したにも関わらず、日本株は上昇という反応となりました。米CPIを受けて為替が円安になったことや、一部のテック株が買われて米株市場の下落が限定的だったこと、さらに、週末14日(金)に控える、国内株価指数のオプション・mini先物取引のSQを前にした需給的な動きも影響していると思われます。

とはいえ、米国のインフレ継続は、米金融政策の利下げ見通しを後退させ、金利の高止まりによって、株価を抑える可能性があるほか、「トランプ関税」に対する警戒も燻っており、足元の株価反発がこれからも継続するかについては微妙なところかもしれません。

この、トランプ関税については、「鉄鋼・アルミ製品への25%関税」と「相互関税の内容」が焦点となっていました。前者については、関税の実施が表明されたものの、関税が発動される3月12日までに時間があり、米国と相手国との交渉次第では状況が変化するかもしれないこと、後者についても、自動車や薬品などで例外措置を検討しているとも報じられています。

そのため、現時点での株式市場は、関税発動による経済や企業業績への悪影響を織り込んで積極的に下値をトライする格好にはなっていませんが、今後の動向によって株価が振り回される場面は増えそうです。

また、先日まで「DeepSeek(ディープシーク)」ショックに揺れた、AI関連銘柄や半導体関連銘柄が、足元で買い戻されている点にも注目です。買いが目立つようになったのは、今週10日(月)に台湾の半導体受託製造大手のTSMCが発表した1月の売上高がきっかけです。前年同月比で35.9%増となり、旺盛な半導体需要が確認された格好となりました。

買い戻しの基調はまだ続くと思われますが、さらに上昇していけるのか、もしくは再び下落に転じてしまうのかについては、2月27日に予定されている米エヌビディアの決算がカギを握ることになりそうです。

いずれにしても、足元の株式市場の堅調さは、先行き不透明感によって、「売りにも買いにも傾けられない」という相場地合いが反映されている面が強いと思われます。したがって、目先の材料に反応して株価は上げ下げするものの、方向感は出ない展開がしばらく続くことになりそうです。

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