来週の金融市場見通し(2025年9月1日~2025年9月5日)

■来週の見通し

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、22日のジャクソンホール会議の講演で、景気を下支えするために利下げの検討を進める考えを示唆しました。他方、注目の米半導体大手エヌビディアの決算発表では、予想を上回る大幅増収増益となりましたが、同社の株はやや利益確定売りが優勢になりました。来週は、29日発表の7月の米個人消費支出(PCE)価格指数を受けた米金融市場の動きに加え、金融経済懇談会での氷見野日銀副総裁の発言なども確認しながら、週末の米雇用統計を待つことになりそうです。

◆株価 :国内政治動向に注目

今週の日本株は、小動きでした。高値警戒感から利益確定売りに押される場面もありましたが、事業法人による自社株買いとみられる資金流入が下支えになったとみられ、一進一退の展開となりました。石破首相の進退をめぐる国内政治動向の不透明感が投資家の様子見姿勢を強めた可能性もあります。

来週は、国内政治動向が相場を動かす材料となりそうです。9月2日に自民党の両院議員総会、8日に総裁選前倒しの是非の公表が予定されています。早ければ、報道を通じて来週にも石破首相の進退が明確になる可能性があります。仮に、石破首相が辞任する可能性が高まった場合、後任の総裁・総理候補の政策への思わくから株式市場は大きく変動する可能性があります。米国の経済指標発表も相場を動かす材料となりそうです。

◆長期金利 :居所を探る

今週は、ジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言を受けて、米利下げ再開の可能性が意識された一方、植田日銀総裁が持続的な賃金上昇圧力に言及したことから、日銀の利上げ路線が継続するとの見方も広がました。長期金利は、週央にかけて若干上昇しましたが、週後半はやや債券買いが優勢になり、長期金利は1.60%程度まで低下しました。

来週は、PCE物価指数を受けた米長期金利の動きや、氷見野日銀副総裁の発言などを確認しながら、居所を探る展開を予想します。FRBが重視するPCE価格指数(食品とエネルギーを除く)の伸びが加速すると、米利下げペースが緩やかになるとの見方が広がる可能性があります。他方、氷見野副総裁が利上げを慎重に進める姿勢を示した場合には、国内金利の上昇が抑制されることも想定されます。10年国債入札も確認したいところです。

◆Jリート :調整も下値は限定的か

今週のJリート市場は、小幅に下落しました。長期金利が高止まりする中、東証REIT指数(配当なし)1,940ポイント付近で戻り売りが出たことなどから、上値の重い展開となりました。今週末の分配金利回りは4.629%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)。

来週は、長期金利の動向や国内の政局をにらみつつ、やや上値の重い展開となることを想定しています。引き続き急ピッチな上昇の反動や一定の戻り売りが見込まれるほか、日銀の利上げ観測や財政拡張懸念から長期金利が上昇するとJリート市場の下押し圧力となりそうです。とはいえ、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いが見込まれることから、下値は限定的になると見込んでいます。

◆為替:狭いレンジ圏での推移

今週のドル円相場は、ドル安・円高が進行しました。先週末のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を受けて、週初は1ドル=146円台までドル安・円高が進みました。その後は、クックFRB理事の解任を巡る動きから一進一退の展開となりましたが、国内輸入企業によるドル買い・円売りの増加などにより、147円前後まで戻しました。

来週のドル円相場は狭いレンジ圏での推移が見込まれます。来週末に公表される米雇用統計を控え、米金融政策の先行きに不透明感が残るなかで、方向感が定まらない展開が予想されます。ただし、米政権によるFRBの人事介入の動きがエスカレートした場合、FRBの独立性が脅かされるとの見方からドル安・円高が進行するリスクがあります。

◆米国株 :経済指標に注目

今週の米国株は、底堅い動きとなりました。4~6月期の米国の国内総生産(GDP)改定値が市場予想を上回るなど米経済の底堅さを示す経済指標の発表が相次いだことが株価を支えました。NYダウは最高値を更新しました。

来週は、企業の景況感や雇用に関する経済指標の発表が注目されます。最近の経済指標は、米経済の底堅さを示す内容が増えています。2日発表のISM製造業景況指数、4日発表の米ADP雇用統計などが、引き続き好調な内容になるかが注目されます。これらの指標が市場予想を下回る内容になると、米経済減速への懸念が強まり、株価を下押しする恐れがあります。半導体関連株は、5日のブロードコムの決算発表後は値動きが激しい展開になる可能性があります。

 

来週の注目点

法人企業統計調査(25/4-6月期) 9月1日(月)発表

法人企業統計調査によると、1-3月期の全規模・全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は前期比-2.6%と、2四半期ぶりの減益となりました。円高の進行が製造業の収益の重しとなりました。また、設備投資(ソフトウェア含む)は同+1.6%と、4四半期連続で増加しました。

4-6月期については減益が続いたとみられます。価格転嫁の進展や堅調なインバウンド需要により非製造業は高水準の収益が続く一方、米国の関税政策の影響により、自動車や鉄鋼を中心とする製造業が減益となったとみられます。設備投資については、世界経済の先行き不確実性が高いなかで、外需の影響を受けやすい製造業の機械投資が弱含んだ可能性があります。

米雇用統計(8月) 9月5日(金)発表

米雇用統計によると、7月の非農業部門雇用者数は前月差7.3万増と、市場予想を下回る伸びとなりました。また、5、6月の非農業部門雇用者数が大幅に下方修正され、米国の労働市場が想定以上のペースで減速していることが明らかとなりました。失業率は、4.2%と前月(4.1%)から上昇しました。

8月の非農業部門雇用者数は前月差7.8万増、失業率は4.3%程度を想定しています。直近の新規失業保険申請件数は減少するなど、民間企業が人員削減に踏み切る動きは限定的とみられていますが、米国の関税政策による影響が強まるなかで、雇用者数の鈍化が続くのかという点に注目が集まります。

 

 

 

 

 

 

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