米大統領選から約1カ月で上がった市場と下がった市場

2024/12/04

米大統領選から約1カ月で上がった市場と下がった市場

    • 米国株はしっかり上昇、主要3指数ではナスダック総合が最も好調で、11業種別でも幅広く上昇。
    • 日経平均、TOPIXも上昇、業種別では金融が好調、ドル円は日米金利差縮小でドル安・円高。
    • 主要債券指数も上昇、前回のトランプ・ラリーのような現象はなく、市場は全体に落ち着いた状況。

米国株はしっかり上昇、主要3指数ではナスダック総合が最も好調で、11業種別でも幅広く上昇

米大統領選挙の投開票が行われた11月5日から約1カ月が経過しました。今回のレポートでは、トランプ氏勝利という米大統領選の結果を受け、主要市場はこの期間、どのように動いたかを検証します。対象期間は大統領選の前日である11月4日から12月3日までとし、この期間の騰落率などを計算します。なお、前回トランプ氏が勝利した2016年の大統領選挙後と比較するため、2016年11月7日から12月6日までの期間も計算しています。

まず、米国株について、今回は前回2016年当時よりも主要3指数は大きく上昇しており、前回はダウ工業株30種平均、今回はナスダック総合株価指数の上昇率が、3指数のなかで最大となっています(図表)。また、S&P500種株価指数の11業種では、一般消費財、金融、通信サービスの上昇率が大きく、前回よりも幅広い業種で上昇の動きが確認されますが、金融の上昇率は前回ほど大きくはありません。

日経平均、TOPIXも上昇、業種別では金融が好調、ドル円は日米金利差縮小でドル安・円高

次に、日本株について、前回は大型減税への期待から世界的に株価が上昇する「トランプ・ラリー」と呼ばれる現象が発生し、日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は大きく上昇しました。今回も両指数は上昇していますが、上昇率は前回よりもやや控えめです。なお、前回、今回ともにTOPIXの上昇率が日経平均を上回っています。また、業種別では金融が引き続き好調ですが、上昇率は前回を下回っています。

為替市場に目を向けると、米ドルは前回と同様、主要33通貨のうち30通貨に対し上昇しており、米ドルがほぼ全面高となっている様子がうかがえます。ドル円については、前回、米国が利上げ局面を迎える一方、日本では異次元緩和が続いていたこともあり、日米長期金利差が拡大、ドル円はドル高・円安が進行しました。今回は、米国が利下げ局面、日本は緩和修正局面にあり、日米金利差が縮小、ドル安・円高が進んでいます。

主要債券指数も上昇、前回のトランプ・ラリーのような現象はなく、市場は全体に落ち着いた状況

商品市場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は前回2ケタの上昇率でしたが、今回は下落に転じています。このほか、先進国株価指数は上昇、新興国株価指数は下落と、前回と同じ傾向が確認されましたが、前回下落した世界国債指数、世界投資適格社債指数、世界ハイイールド債券指数、新興国ソブリン債券指数の4指数は、今回そろって上昇しています。

このように、米大統領選挙後1カ月ほどの各市場の動きを検証すると、前回2016年当時と異なるところも多く確認され、少なくともトランプ・ラリーのような現象が市場全体に広がっているようには思われません。まだ1カ月程度なので、早計な判断は禁物ですが、市場は次期トランプ政権の政策に対する期待と不安が交錯するなか、今のところ比較的落ち着いた状況にあると考えられます。

 

 

 

(2024年12月4日)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
市川レポート 経済・相場のここに注目   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
主要国のマクロ経済や金融市場に関する注目度の高い材料をとりあげて、様々な観点から分析を試みます。
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものであり、投資勧誘を目的として作成されたもの又は金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。本資料を投資の目的に使用したり、承認なく複製又は第三者への開示等を行うことを厳に禁じます。
●当資料の内容は、当社が行う投資信託および投資顧問契約における運用指図、投資判断とは異なることがありますので、ご了解下さい。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ