グロースエクスパートナーズ(244A)新規顧客開拓と顧客の海外事業展開支援、顧客とのサービス共創で成長を目指す
組織/ITの変革により事業価値創出を目指す大手企業のDXを支援
新規顧客開拓と顧客の海外事業展開支援、顧客とのサービス共創で成長を目指す
業種:情報・通信業
アナリスト:鎌田良彦
◆ 組織/ITの変革により事業価値創出を目指す大手企業のDXを支援
グロースエクスパートナーズ(以下、同社)グループは、持株会社の同社とGxP(ジー・エクス・ピー)、グロース・アーキテクチャ&チームス、ミエルカの子会社3社からなり、大手企業を主要顧客に、組織/ITの変革により事業価値創出を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)を、顧客に伴走して支援する「エンタープライズDX事業」を展開している。
同社は、エンタープライズDX事業の単一セグメントであるが、DX推進支援事業、DX支援プロダクト・サービス事業、デジタルサービス共創事業の3つの事業を行っている(図表1)。
3つの事業の売上内訳は開示されていないが、23/8期の主要子会社の業績が開示されている(図表2)。売上高、利益は、システムの企画・開発・運用を行うGxPが大きい。グロース・アーキテクチャ&チームスはDXコンサルティングを提供している。顧客のレガシー資産(顧客、ブランド、人財、既存IT資産、ビッグデータ等)活用の仕組み作りを行うジーアールソリューションズは、Webサイトやアプリケーションの企画・開発・運用を行うグロース・インクとともに、23年9月にGxPに吸収合併された。ミエルカは、ビッグデータ解析とAI学習サービスを提供している。
◆ DX推進支援事業
DX推進支援事業は同社の中核事業であり、DX支援コンサルティング、システム企画・開発・運用サービスを提供している。DX支援コンサルティングでは、顧客のレガシー資産の強みを活かしながら、IT技術を活用して新たなビジネスアーキテクチャや顧客体験等を設計するサービスデザイン手法を用いている。DX支援コンサルティングはグロース・アーキテクチャ&チームスが担当している。
システム企画・開発・運用では、顧客と同社の合同チームによる企画・設計・テスト・リリースを繰り返すアジャイル開発、開発担当者と運用担当者が緊密に連携して開発を行うDevOps(デブオプス)注1の採用、複数の独立したサービスを組み合わせて大きなアプリケーションを構築するマイクロサービス化等の手法を用いて開発を行っている。システム企画・開発・運用はGxPが担当している。
◆ DX支援プロダクト・サービス事業
DX支援プロダクト・サービス事業では、組織変革・DX人財育成教育サービスや、DXを支援する同社及び他社のプロダクトを提供し、顧客の自走型DX組織の実現を支援している。主要な他社プロダクトとしては、オーストラリアAtlassian社のアジャイル開発者向けのコラボレーションソフトウェア、既存IT基盤の最新化を支援するカナダFresche Solutions社の資産アセスメントツール等の販売・導入支援を行っている。教育メニューは、グロース・アーキテクチャ&チームスが、DXプロダクトはGxPが提供している。
◆ デジタルサービス共創事業
デジタルサービス共創事業は、同社が顧客とデジタルサービスを共同開発し、同社顧客のユーザーのDXや、顧客の業界全体のDXを支援するサービスを提供し、同社はレベニューシェア等の形で売上・利益を得るものである。取組事例としては、ニプロ(8086 東証プライム)との共同事業で、透析器の病院での管理を効率化するソフトウェアを開発し、病院施設への導入拡大に応じてライセンス収入を得ている例等がある。デジタルサービス共創事業はGxPが担当している。
◆ 顧客基盤
同社では、売上高1,000億円以上、かつ、創業50年以上で、同社との取引金額が500万円以上の顧客をエンタープライズ顧客として、その顧客数を重要業績評価指標(KPI)としている。23/8期にはエンタープライズ顧客数は17社となり、売上高の約80%を占めた。17社のうち年間取引金額1億円以上が8社、同2億円以上が4社となっている。エンタープライズ顧客数は、グループ企業も含めて1社としており、エンタープライズ顧客としては、主要販売先として開示されているニプログループの他、三越伊勢丹ホールディングス(3099東証プライム)グループ等がある(図表3)。
同社の顧客向けシステム開発は、アジャイル開発により開発・運用・改善のサイクルを継続することや、新たな事業や業務への展開も行われるため、長期の関係になることが多い。過去3期間累計売上高が300万円以上の顧客を対象に、前期と対象年度ともに取引があった社数を対象年度に取引があった社数で除した顧客維持率は23/8期に92.1%となっている。