日経平均株価の大幅安と海外投資家の売買動向
日経平均株価の大幅安と海外投資家の売買動向
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- 日経平均は大幅安、予想を下回る米経済指標の発表を受けた米景気減速懸念の浮上が背景。
- 日経平均の6月と7月の急騰・下落は投機主導の可能性、今回も同じならいずれ買い戻されよう。
- 重要なのは海外投資家の現物取引で買い増し余地は大、日経平均の長期の上昇基調も不変。
日経平均は大幅安、予想を下回る米経済指標の発表を受けた米景気減速懸念の浮上が背景
8月2日の日経平均株価は寄り付きから大きく下落しました。その理由としては、①8月1日の米国株式市場で主要株価指数が急落したこと、②為替市場でドル安・円高の進行が加速していることなどが考えられます。とりわけ、米国株を大幅に押し下げたのは、急速に強まった米景気の減速懸念で、それが浮上したきっかけは、8月1日に発表された米経済指標でした。
この日発表された7月27日までの1週間の新規失業保険申請件数は、249,000件と市場予想の236,000件を上回り、約1年ぶりの高水準になったことで、労働市場悪化の見方が広がりました。その後発表された7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も、46.8と市場予想の48.8を大幅に下回り、米国景気が想定以上に減速しているとの警戒が強まりました。
パウエル議長は条件付きながらも、9月の次回会合で、利下げの検討が可能であることを示唆した
この2つの経済指標を受け、米主要株価指数は大きく下落し、米長期金利が低下するなかでドル安・円高が進行、本日の日経平均の大幅安につながりました。ここで、改めて日経平均の6月と7月の動きを振り返ってみます。日経平均は6月第4週から上昇ペースが加速し、7月第2週の11日には、終値で42,224円02銭の史上最高値をつけました。しかしながら、その後は急落し、7月第4週の26日には、終値で37,667円41銭まで下落しました。
この期間の、主な投資主体別の売買動向をみると、日経平均の急騰と急落を主導したのは、投機筋を含む海外投資家の先物取引であることが分かります(図表1)。そのため、6月第4週以降の日経平均の急騰と急落は、投機筋の先物主導による動きと推測されます。本日の日経平均の下げも、投機筋による先物の売り主導であれば、いずれは利益確定のため、大きく買い戻しが入ることが予想されます。
引き続き9月と12月の利下げを予想、ドル円はドル高・円安局面からドル安・円高局面に移行へ
本日の株安が投機筋による先物の売り主導か否かは、来週8日に日本取引所グループが公表する投資部門別売買状況のデータを待つことになります。なお、日本株にとって、より重要なのは、海外投資家の現物取引の動向です。現物を取引する海外投資家には、中長期的な視点で運用を行う、年金などが含まれるとされ、海外投資家の現物取引は、年明け以降、買い越しが続いています。
日本のマクロ環境は、賃金と物価に改善の動きがみられ、日本企業も、資本効率改善の意識など、かつてないほど大きく変化しています。これらの点を踏まえると、海外投資家の現物買いが日本株を支える余地は拡大しつつあるように思われます。足元で調整色の強まった日経平均ですが、依然10年超続いた長期上昇トレンドの上値抵抗線を上抜けており(図表2)、過度に悲観する必要はないと考えています。
(2024年8月2日)
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