「株式市場はさらに上を目指せるのか」

2024/07/05

2024年相場も折り返し地点を過ぎ、7月入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は節目の4万円台を回復し、3月22日の高値(終値で40,888円、取引時間中で41,087円)を更新するところまで上昇してきています。TOPIXも3月の高値を超えて、さらに、4日(木)の取引では1989年12月の高値(2,884p)を上回って史上最高値を更新する場面を見せるなど、これまでのところ、2024年の後半戦は順調な滑り出しとなっています。

古くからの相場格言では、「新値は買い」と言われていますが、「これまでの高値を更新できるということは、相場に勢いと買い材料が存在している」という考え方がこの格言の背景にあります。

では、実際のところ、足元の相場がさらに上を目指せるだけの材料があるのでしょうか?

ここ最近の株価上昇は6月の後半あたりから始まっていますが、当初は、これまでの相場の牽引役だった半導体関連株などのグロース株が軟調な場面を見せ始める中、国内の主力大型株を中心としたバリュー株が、その受け皿となった格好で、株価の底打ち感からの緩やかな上昇となっていました。

バリュー株の代表例としては、認証不正問題等で下落基調だった自動車株や、調整局面に入っていた銀行株などが挙げられますが、自動車株には歴史的な水準まで進行してきた為替の円安、銀行株については、日銀の不透明な金融政策の引き締め観測によって、国内債券の利回りが上昇気味だったことも追い風となりました。

6月の月末にかけては、上半期末というタイミングということもあって、配当金の再投資観測や、機関投資家のリバランス買いなどの需給要因が加わって、株価指数の上昇に勢いが出始め、そして、7月を迎えると、米半導体株などのグロース株が再び息を吹き返し、その流れを受けて国内グロース株も上昇していくといったように、グロースとバリューの「循環物色」が機能し、高値をトライする状況となっています。

さらに、減少しつつあった、株価指数先物取引における裁定残も6月最終週に再び増加し始めています。一般的に、裁定残は相場の先高観が強まると増える傾向があるとされています。

このように、最近の株価上昇は、「相場の勢いはあるものの、材料としては目新しいものがあるわけではない」ことが分かります。このほか、7月3日時点の日経平均の予想PREは17.16倍となっており、株価の割高感も出てきましたので、そろそろ上昇が一服する可能性は高そうです。

したがって、こうした足元の上昇基調を維持していくためには、好調な企業業績などの裏付けが必要となってきます。7月の半ばからは、日米で企業決算発表が本格化していきますが、とりわけ、国内企業の業績見通しの上方修正がどこまで増えるかが焦点となります。PERは「株価÷1株あたり利益」で計算されますが、企業の「稼ぐチカラ(1株当たり利益)」が伸びてくれば、理屈の上ではPERは低下し、割高感も薄れてきます。

そして、月末の30日~31日にかけては米FOMCと、日銀金融政策決定会合が同じスケジュール感で開催されることもあり、7月相場は中期的な相場のトレンドを占う重要な月となりそうです。

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