2023年10月FOMCプレビュー~今回の注目点を整理する
2023年10月FOMCプレビュー~今回の注目点を整理する
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- 政策金利の据え置きは織り込み済み、FOMC声明とパウエル議長の発言に市場の関心が集まる。
- 声明の内容に大きな変更はなく、パウエル発言は10月19日の講演での発言とほぼ同じとみられる。
- FOMCは無風通過か、米長期金利上昇懸念は残るが、米経済減速で低下に転じると思われる。
政策金利の据え置きは織り込み済み、FOMC声明とパウエル議長の発言に市場の関心が集まる
米連邦準備制度理事会(FRB)は、10月31日、11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。今回はFOMCメンバーによる経済見通しや、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」は公表されないため、FOMC声明と、記者会見でのパウエル議長の発言に市場の関心が集まっています。以下、これらについて、主な注目点を整理します。
まず、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標について、弊社は5.25%~5.50%で据え置きを予想しています。直近のFF金利先物市場でも、据え置きの確率が90%を超えており、今回のFOMCにおける利上げ見送りは、ほぼ織り込み済みといえます。なお、FF金利先物市場では、政策金利は当面据え置かれ、来年6月のFOMCで25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の「利下げ」が行われるとの見方が優勢になっています。
声明の内容に大きな変更はなく、パウエル発言は10月19日の講演での発言とほぼ同じとみられる
次に、FOMC声明について、内容に大きな変更はなく、「FOMCは今後入ってくる情報と、金融政策への影響を注視し続ける」という文言も維持されるとみています。FOMC声明はFRBの政策意図を示す基本手段であるため、この文言が維持されることは、パウエル議長が繰り返し述べている、政策判断はデータ次第で会合毎に決めるとの方針に、変わりはないと解釈できます。
そして、パウエル議長の記者会見における発言については、10月19日にニューヨーク経済クラブで講演を行った際の発言と、おおむね同じ内容になると予想されます。19日の主な発言は図表1の通りで、インフレと労働需給ひっ迫の低下傾向を歓迎する一方、インフレ率はまだ高すぎる水準にあり、2%への回帰には労働市場のさらなる軟化が必要である可能性が高い点を指摘していました。
FOMCは無風通過か、米長期金利上昇懸念は残るが、米経済減速で低下に転じると思われる
日銀は、2024年3月中旬ごろの春季生活闘争(春闘)の集中回答を確認後、4月の展望レポートを改定し、「物価安定の目標」について、持続的・安定的に実現する確度が高まったと判断する見通しです。それに伴い、日銀はYCCの撤廃とマイナス金利政策の解除に踏み切り、すでに形骸化しているETFおよびJ-REITの買い入れ停止と、「オーバーシュート型コミットメント」によるマネタリーベース拡大方針の廃止も予想されます。
異次元緩和の終了により、日本国債の利回り上昇、日本株の下落、ドル安・円高の進行が予想されることから、日銀が長期金利急騰時の柔軟な国債買い入れ姿勢を継続するか否かも注目されます。ただ、国内物価上昇率の先行きの見通しを踏まえると(図表2)、マイナス金利解除後もゼロ金利政策が当面続く可能性は高く、日銀が市場との対話を十分に行えば、極端な長期金利上昇、株安、円高は回避できると思われます。
(2023年10月23日)
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