来週の金融市場見通し(2023年10月2日~2023年10月6日)

■来週の見通し

前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、来年の政策金利見通しが大きく引き上げられたことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を長期にわたり維持するとの観測が広がっています。また、米国では連邦政府の予算案が成立せず、10月1日から米政府の一部機関が閉鎖することも警戒されており、仮に政府機関が一部閉鎖された場合には投資家心理が悪化しそうです。来週は、米雇用統計や上昇してきている原油価格の動向に加え、日銀短観(9月調査)で国内企業の景況感なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が見込まれます。米金利の上昇が継続していることが、株価の重しとなりそうです。また、中国の不動産大手の債務問題への懸念が強まると投資家心理が悪化しそうです。とはいえ、政府が減税等の経済対策を打ち出すと、市場は好感する可能性があることに加え、国内企業の業績改善期待も株価を下支えしそうです。日銀短観で景況感回復が確認できると安心感が広がりそうです。米雇用統計も確認したいところです。

◆長期金利 :上昇一服も

米金融引締め長期化観測や政府閉鎖の米国債格付けへの悪影響への懸念から、米金利が上昇したことに加え、日銀の早期政策修正への警戒から、長期金利は一時0.77%まで上昇しました。ただ、日銀は臨時の国債買入れオペを通知し、金利上昇を抑制する姿勢を示しました。来週は米政府機関の閉鎖の有無に加え、FRB高官の発言などに振らされそうです。10年国債入札で投資家の需要が確認できると、安心感が広がることも想定されます。

◆為替堅調

ドル円は堅調な展開が続きそうです。米国では年内もう一段の利上げの可能性に加え、高金利が長期化するとの観測が強く、米長期金利は4.6%程度まで上昇しています。また、原油価格も上昇しており、米インフレの再燃と日本の貿易赤字拡大懸念が高まっています。そのような環境下、ドル円は引き続き堅調な展開となりそうです。ただ、ドル円は日銀のドル売り介入を警戒しながら上値を模索しており、その上昇は緩やかなものとなりそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

東証REIT指数は、株安を受けた投資家心理の悪化や、長期金利の上昇を嫌気した売りなどから、28日には8月下旬以来の1,850ポイント割れとなりました。ただ、値ごろ感からの買いなどから、下げ幅を縮小しました。日銀が長期金利の上昇を抑制する姿勢を示していることは安心材料です。米政府機関の閉鎖が回避または早期に解決すると安心感が広がる可能性もあります。下値では押し目買いも入ることから、底堅い動きは継続しそうです。

来週の注目点

日銀短観(9月調査)  10月2日(月)午前8時50分発表

6月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス5、同・非製造業がプラス23と、3月調査に比べ、それぞれ4ポイントの改善、3ポイントの改善となりました。製造業は供給網の改善が寄与し、非製造業については経済活動の正常化が景況感を支えました。

9月調査の業況判断DIは、大企業・製造業、同・非製造業とも6月調査に比べ小幅な改善が予想されます。製造業では海外景気の減速が重しとなる一方、半導体不足緩和による自動車生産の回復などが景況感改善に寄与する見込みです。また、非製造業では訪日外国人の増加やレジャー需要の回復を背景に、緩やかな改善が見込まれます。

米雇用統計(9月) 10月6日(金)午後9時30分発表

8月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比18万7,000人増となりました。平均時給は前月比0.2%増(前年比4.3%増)と前月より伸びが鈍化しました。また、失業率は3.8%と前月から上昇しました。同雇用者数は堅調なペースで増加したものの、全体的には強弱まちまちの結果となりました。

米労働者に関する需給バランスは徐々に改善しているとみられ、米労働市場の過熱感は収まりつつあるようです。9月の非農業部門雇用者数は前月比17万人増程度、平均時給は同0.3%増程度(前年比4.3%程度)、失業率は3.7%程度を想定しています。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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