来週の金融市場見通し(2023年7月24日~2023年7月28日)

2023/07/21

■来週の見通し

来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視されています。米国のインフレが鈍化する中、市場は7月で利上げ打止めとの織り込みですが、さらなる利上げについて何らかの示唆があるかが注目されます。他方、日銀金融政策決定会合では、現状維持との見方が大勢ですが、大規模な金融緩和策を修正するとの思わくもくすぶります。日銀が政策修正に動くと、金融市場が荒れた動きになる可能性があります。内外の経済指標や決算発表なども確認しながらの、神経質な動きが続きそうです。

◆株価 :やや不安定な展開に

日本株は、やや不安定な展開が見込まれます。日銀金融政策決定会合では政策が修正されるとの見方があり、実際に修正が行われると、株価を圧迫することが予想されます。また、FOMCを受けて、米国の金融引締めの長期化観測が再燃すれば、株価を押し下げそうです。ただ、国内景気の拡大などを期待した海外投資家の日本株への投資意欲は根強く、株価を下支えしそうです。そうした中、国内企業の4-6月期決算発表が注目されます。

◆長期金利 :金融政策にらみ

日銀の植田総裁が粘り強く金融緩和を続ける姿勢を示したことから、来週の金融政策決定会合で金融緩和策を修正するとの思わくが後退し、長期金利は一旦低下したものの、米利上げが長期化するとの見方も根強く、週末は上昇する動きになりました。FOMCで利上げ継続との見方が強まると、米金利とともに国内金利にも上昇圧力がかかる可能性があります。また、日銀が政策修正に動くと、国内金利が急上昇することも想定されます。

◆為替波乱含み

ドル円は方向感の見定めにくい展開が見込まれます。7月のFOMCや日銀の金融政策決定会合を控え、週前半は小動きとなりそうです。FOMCでは0.25%の利上げが想定されていますが、利上げが見送られた場合や、9月のFOMCに向け、市場の想定以上にタカ派的な結果となった場合などは、変動性が高まり、波乱含みの展開となりそうです。また、日銀が金融政策の修正を行った場合、ドル円は下値模索の展開となる可能性もあります。

◆Jリート :神経質な動き

東証REIT指数は、1,800ポイント台後半での一進一退の動きが続いています。株式市場と比べた出遅れ感に加え、資産価格と比べた割安感、また利回り面での投資妙味などから、底堅い動きの中、上値を探る動きが続きそうです。とはいえ、日銀が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)などの金融緩和策を修正した場合には、不安定な動きになる可能性があります。FOMCで利上げ打ち止め観測が強まるかも注目されます。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(7月)  7月28日(金) 午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は6月に前年比3.2%上昇と、5月の同3.1%上昇から伸びが加速しました。特に生鮮食品を除く食料が同8.9%上昇し、コアCPIを押し上げました。

7月のコアCPIも、前年比3%程度の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

米個人消費支出(6月) 7月28日(金) 午後9時30分発表

5月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.1%増となり、前月に比し小幅な伸びとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比3.8%上昇となり、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同4.6%上昇となるなど、両指数とも前月の伸びを下回り、米インフレの鈍化傾向を示唆しました。

米国の個人消費は、堅調に推移してきましたが、これまでの米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げを受け、今後の消費支出の動向は要注意です。6月のPCEは前月比0.4%増程度、総合価格指数は前年比3.1%程度、コア指数は同4.2%程度の伸びが想定されます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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