米金融市場はターミナルレートを探る動き

2022/11/18 <>

▣ ターミナルレートを探る動き

米金融市場では、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%の利上げをほぼ織り込み、その後、政策金利が最終的にいつ、どの水準まで引き上げられるか(ターミナルレート、政策金利の最終到達地点)を探ろうとしています。

ターミナルレートについては、7月には今年の12月に最終的な利上げが決定され、2023年の半ば以降には緩やかに政策金利が低下していくとの織り込みでした。ただ、その後はインフレの上振れを受け、最終的な利上げの時期が後ずれ、政策金利の水準の織り込みも引き上がっていきました(図表1、2)。

▣ 市場は米金融政策についてやや楽観的

足元では、10月の米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)の伸びが市場予想以上に鈍化したことを受けて、インフレのピークアウトも意識され、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを緩めるとの期待も広がってきています。

米金融市場では、来年前半には政策金利が5.0%前後まで上昇した後、後半には景気悪化に配慮して1~2回(1回の利下げ幅を0.25%と想定)の利下げが行われるとの織り込みです。

▣ ターミナルレートと米長期金利、米株

米金融市場では、長期金利はターミナルレートに連動して推移していますが、水準はターミナルレートより低く、利上げ終了後の利下げを織り込んでいる格好です(図表2)。

他方、米株についてはターミナルレートの水準よりは、その後の利下げが気になっている模様です(図表3)。

▣ ターミナルレートの水準と来年の利下げの有無が焦点に

ブレイナードFRB副議長が、「おそらく利上げペースを減速するのが間もなく適切になると考える」と述べるなど、FRB高官からも利上げ鈍化を示唆する発言が増えています。これまでの大幅な利上げの景気などへの影響を確認する段階に近づいていると考えることもできそうです。

サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、「政策金利は4.75~5.25%に引き上げるのが妥当だ」と、ターミナルレートの水準については市場の織り込みとおおむね一致しますが、利上げ停止後に早期に利下げに転じることは否定しています。セントルイス連銀のブラード総裁が、「十分抑制的な水準に達する

ためには、政策金利はさらに引き上げる必要がある」と述べるなど、FRB高官からタカ派的な発言も出てきています。

来年後半の利下げを織り込むやや楽観的な市場と、利上げ終了後もその水準を維持しようとするややタカ派的なFRBとの乖離が残っている状況です。

しばらくはFRB高官の発言や米経済指標を確認しながら、ターミナルレートの水準や来年の利下げの有無などを探っていくことになりそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
内外の投資環境分析を基に、投資に資する情報、見通しなどを、タイムリーにお伝えします。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会