来週の金融市場見通し(2022年7月11日~2022年7月15日)

■来週の見通し

公表された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、FOMC後のパウエル議長の記者会見での発言に沿った内容で、より金融引締めに積極的なタカ派的な内容を警戒していた市場に安心感が広がりました。米短期金融市場では既に、6月に続き7月のFOMCでの0.75%の大幅利上げが織り込まれている状況です。来週は、5月の機械受注、6月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)など内外の経済指標に加え、米銀の決算発表なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :底堅い展開に

日本株は、底堅い展開が予想されます。米国の景気や金融政策に対する過度な警戒感がやや和らいでいることが、内外株価を支える見通しです。また、中国経済が大規模な景気刺激策で回復傾向を強める、との期待が株価を押し上げるとみられます。ただし、世界的なインフレをめぐる不透明感は根強い上、日本では新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、それらによる国内景気の減速懸念が日本株の上値を抑える場面もありそうです。

◆長期金利 :レンジ継続

米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が市場予想を下回ったことなどから米景気が後退局面に入るとの警戒感が強まり、米長期金利とともに国内の長期金利も一旦低下しました。ただ、買い(価格上昇、利回り低下)は続かず、長期金利は0.2%台前半での動きが続きました。日銀が長期金利の上限を0.25%とする金融緩和策を堅持しており、動きにくい相場が続きそうです。5年国債、20年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :方向感模索

日米金融政策の方向性の違いを背景にドル円の底堅い地合いは継続するとみられます。とはいえ、ウクライナ情勢の悪影響などから、欧州中心に景気減速懸念が高まっています。また、米個人消費の勢いにも陰りがみられるなど、米景気の先行き不透明感も強く、米長期金利はやや低下基調で推移しています。それを受け、ドル円は、底堅い地合いながら上値も重く、当面は136円を中心とした水準で方向感を模索することになりそうです。

◆Jリート :一進一退の中、上値を探る

6月の東京都心のオフィス空室率は2か月ぶりに若干上昇しましたが、おおむね横ばい圏での推移が続いていることや、オフィス需要が回復しつつあるとの見方は、Jリート市場の下支え材料です。他方、7月前半開始予定の「全国旅行支援」について、政府が延期する方向で調整すると伝わりましたが、代わりに県民割を7月15日以降も継続する方向で調整を進めている模様です。引き続き、一進一退の中、上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

機械受注(5月) 7月11日(月)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、4月に前月比10.8%増の9,630億円となりました。経済活動の正常化期待などを受け、企業の投資意欲が高まりました。

5月の機械受注は、前月比5%程度の減少が見込まれます。4月まで2か月連続で大幅増となったことから、その反動で一旦減少した可能性が高そうです。今後については、好業績を背景に主要企業の投資姿勢は前向きとみられますが、ウクライナ紛争や新型コロナウイルスめぐる不透明感などから、緩やかな増加にとどまる見通しです。

米消費者物価指数(6月) 7月13日(水)午後9時30分発表

5月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.6%の上昇となり、前月より伸びが加速するとともに市場予想を上回りました。他方、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同6.0%上昇となり、市場予想をやや上回りましたが、前月より伸びは鈍化しました。

コアはやや落ち着きを見せたものの、引き続き価格上昇は広い分野に及んでいます。また、食品やエネルギー価格の上昇は今後も継続する可能性が高そうです。6月は総合で前年比8.8%程度の上昇、コアは同5.8%程度の上昇を想定しています。

 

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