来週の金融市場見通し(2022年6月13日~2022年6月17日)

■来週の見通し

5月の米雇用統計では労働市場の堅調さが示され、米連邦準備理事会(FRB)が積極的に金融引締めを続けるとの見方が強まっています。10日発表の5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ると、引締め観測が一段と強まる可能性があります。来週と7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.5%の利上げが決定される見込みで、その後の引締めペースが注目されていくことになりそうです。内外の経済指標に加え、円安が進行する中、日銀金融政策決定会合後の黒田総裁の会見も確認したいところです。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。日経平均株価は一時2万8千円台を回復する場面もありましたが、米欧の利上げなど多数の不安材料が残っているため、積極的に上値を追いにくい状況です。ただ日本株は、日銀の金融緩和や円安基調が好材料になると見込まれることから、一方的に大きく下落する可能性は低いとみられます。そうした中、FOMC、日銀金融政策決定会合、内外で多数発表される経済指標などが注目されます。

◆長期金利 :狭いレンジでの動きが継続

堅調な米雇用統計に加え、インフレ高止まりへの警戒や欧州中央銀行(ECB)が金融引締めに前向きなタカ派姿勢を強めたことなどを背景に、米長期金利が3%に乗せる動きになったものの、国内の長期金利は狭いレンジでの動きが継続しました。来週のFOMCでの0.5%利上げは織り込み済みで影響は限定的とみられます。黒田総裁は金融緩和を堅持する姿勢を維持するとみられ、0.25%を上限とするレンジでの動きが継続しそうです。

◆為替 :堅調な展開

5月の米雇用統計において、米国経済の底堅い成長を確認して以降、市場ではあらためて米国の早期大幅利上げ観測が高まっています。それを受け、米長期金利が3.0%台に上昇する中、ドル円も一時134円台まで上昇しました。米国やユーロ圏をはじめ、金融引締めを急ぐ海外の中央銀行と「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」とする日本銀行との政策の方向性の違いが際立っていることから、ドル円は引き続き堅調な展開が想定されます。

◆Jリート :利益確定売りに押されながら上値を探る

東証REIT指数は、上値を抑えていた200日移動平均線を一旦上抜けましたが、週末は上げ幅を縮小しました。訪日外国人観光客の受入れが10日から再開される中、GoToトラベルの再開観測が浮上するなど、コロナ禍からの経済活動再開への期待がJリート市場を押し上げている模様です。5月の東京都心のオフィス空室率が2か月ぶりに低下したことも安心材料です。利益確定売りに押されながら上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 6月17日(金)に結果発表

今回の金融政策決定会合では、政策の現状維持が見込まれます。国内の物価上昇率は足元、急上昇しているものの、資源高などによる一時的な物価上昇との判断に基づき、日銀は現行の金融緩和策を当面維持する見通しです。

また為替については、黒田日銀総裁は、円安は日本経済にプラス、との見方を堅持する見込みです。実際、輸出企業の決算については、円安などに支えられています。そのため、円安圧力を和らげるために日銀が金融緩和策を大きく修正する可能性は、当面、極めて低いとみられます。

米鉱工業生産(5月) 6月17日(金)午後10時15分発表

4月の米鉱工業生産指数は、前月比1.1%の上昇(前年比6.4%の上昇)となり、市場予想を上回りました。底堅い消費需要と投資の伸びを背景に、鉱工業全般の着実な進展が示されました。また、設備稼働率は79.0%と前月から上昇しました。

足元、金属や機械、自動車、食品など広範囲で生産が増加しています。また、石油、ガス掘削も伸びるなど、当面、鉱工業生産は堅調な状況が続きそうです。5月は前月比0.5%程度の上昇、設備稼働率は79.3%程度を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
来週の金融市場の見通し、注目点を、コンパクトにまとめてお伝えします。
<本資料に関してご留意していただきたい事項>
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。

しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会