来週の金融市場見通し(2021年9月20日~2021年9月24日)

■来週の見通し

来週は、米国で新型コロナウイルスの新規感染者数が高止まりする中、注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。量的緩和縮小(テーパリング)の開始決定は見送られるとみられますが、年内のテーパリング開始が強く示唆される可能性があり注意が必要です。また、政策金利見通しも要注目です。国内では、新型コロナの感染拡大が鈍化する中、ワクチン2回接種完了者が5割を超えてきていることは安心材料です。内外の経済指標に加え、自民党総裁選での討論会の内容なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。日経平均株価が14日に約31年ぶりの高値をつけたことなどから過熱感が強まっており、当面、様子見姿勢が優勢になりそうです。また、中国における景気減速や不動産大手の経営危機も、金融市場で警戒されそうです。とはいえ、次期首相のもとでの経済対策への期待は大きいほか、国内では新型コロナウイルスの感染者が減少しつつあります。それらを背景に、日本株の先高観は残りそうです。

◆長期金利 :上昇圧力がかかる可能性も

長期金利は、8月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回り、緩和的な米金融政策が長引くとの見方から、米長期金利とともに一旦低下しました。ただ、8月の米小売売上高が市場予想に反して増加したことから米長期金利が上昇に転じ、国内の長期金利も0.045%前後まで上昇しました。来週は米国のテーパリング開始や、新政権の経済対策による国債増発が意識されると、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があります。

◆為替 :下値模索の展開か

ドル円と相関性の高い米長期金利は、8月の米消費者物価指数の上昇率が市場予想を下回ったことを受け、一時、1.2%台半ばまで低下しました。足元、同金利は1.3%台を回復していますが、ドル円は引き続き109円台で推移しています。年内の米金融政策正常化開始への期待はドル円の下支え要因ですが、世界的に新型コロナの感染拡大が続く中、米国景気の減速懸念もくすぶっており、ドル円は徐々に下値を模索する展開となりそうです。

◆Jリート : 方向感を探る

東証REIT指数は、株式市場の上昇を受け、投資家のリスク選好が強まる中、割安な銘柄にも買いが入り、一旦上昇したものの、その後はやや売りが優勢になりました。新型コロナの感染者数減少やワクチン接種進展は安心材料です。長期金利に上昇圧力がかかる可能性はありますが、日銀の大規模緩和の下、金利上昇は限定的とみられます。米金融政策に加え、コロナや自民党総裁選の動向などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(8月)  9月24日(金)午前8時30分発表

7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.2%低下となりました。ガソリンなどエネルギーの価格が上昇した一方、特に携帯電話通信料の大幅な値下げがCPIの低下に寄与しました。

8月のコアCPIは、前年比で横ばいが見込まれます。昨年同月はGoTo事業による割引きで宿泊費が大きく下落したため、それとの比較で今年8月の宿泊費が大幅上昇となりそうです。また、エネルギー価格の上昇もCPIを押し上げる見込みです。ただ、携帯電話通信料の値下げなどが、CPIの上昇幅を抑制する見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(9月)  9月23日(木)午後5時発表

8月のマークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は61.4と、昨年の7月以来、活動の拡大縮小の境目となる50を上回る状況が続いています。また、総合PMIも59となり、6か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏は、経済活動の制限が撤廃される中、景気回復が進んでいます。しかし、サプライチェーンの混乱などを背景に、部品の供給などに遅延がみられ、製造業は需要に追い付かない状況が続いており、拡大ペースがやや鈍化している模様です。当面、製造業、総合ともPMIは高水準ながら、伸びが緩やかになる見通しです。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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