アクシージア<4936> 21年7月期は中国のEC市場拡大が成長要因となり増益に転じる見込み

2021/03/04

中国EC市場の拡大を享受する中・高価格帯製品中心の化粧品会社
21年7月期は中国のEC市場拡大が成長要因となり増益に転じる見込み

業種: 化学
アナリスト: 藤野敬太

◆ 中国での EC 販売に主軸を置いた化粧品会社
アクシージア(以下、同社)は、スキンケア商品を中心とする化粧品及びサ プリメントの企画、製造、販売を行う会社である。中国出身で日本でのビジ ネス経験が長い代表取締役社長のもと、中国における EC 経由での販売を 主軸にしたビジネスモデルが構築されている点が最大の特徴である。

同社の事業は化粧品事業の単一セグメントだが、地域と販売チャネルで分 けられた事業区分で分類されている(図表 1)。地域別には中国の売上構成 比が 20/7 期に 86.0%まで上昇している。中国での売上高を販売チャネル別 に見ると E コマースが中心であるが、サロンも急速に拡大している。一方、日 本は、新型コロナウイルス禍の影響から売上高が減少し、20/7 期の売上構 成比は前期の 31.2%から 10.8%にまで低下している。

◆ 地域別事業区分(1)~ 中国
売上構成比の大きい E コマースは、Tmall Global(天猫国際)と RED(小紅 書)の両 EC モールに旗艦店を出店して直接販売を行うものと、Taobao(淘 宝)の出店者に対する卸販売を行うものとがある。

サロンは、主に日本式エステ店やサロン専門店にて業務で使用されるもの や消費者に販売されるものである。20 年 12 月末時点において 685 店舗で 取り扱いがある。リテールは、免税店や百貨店や化粧小売店等で販売され るもので、20 年 12 月末時点で 35 店舗での取り扱いがあるが、売上高に占 める割合は僅少である。サロン及びリテール店舗には卸売業者を通じて販 売されている。

◆ 地域別事業区分(2)~ 日本
日本市場での販売チャネルのうち最も大きい売上高を占めるのはリテール であり、インバウンド需要に対応する形で、大手百貨店や化粧品小売店、免 税ドラッグストア、空港免税店等の 613 店舗(20 年 12 月末時点)で販売され ている。同社が直接販売する場合と、卸販売をする場合とがある。

次に多いのはサロンで、サロンの業務で使用されるものと、サロンにて消費 者に販売されるものがある。20 年 12 月末時点において 552 店舗で取り扱い がある。その他は EC モールや自社 EC 等での直接販売やインターネット通 販事業者への卸販売である。

◆ 地域別事業区分(3)~ その他地域
その他地域のリテールには韓国とシンガポールの免税店での販売が、その 他には日中を除くアジアの 6 つの国と地域を含む 12 カ国での EC 販売また は小売店舗での販売が分類されている。取扱店舗数は 20 年 12 月末時点 で 59 店舗となっている。

◆ 製品ラインナップ
同社の商品は中国市場を念頭に置いて開発され、販売チャネルに合わせ た製品ラインナップとなっている(図表 2)。

サロン向けには、平均単価 10,000 円以上の高価格帯ブランド「Le Ciel de L’aube(ルシエル ド ローブ)」を持ち、スキンケア商品を中心とした化粧品 のラインナップをそろえている。

EC や小売店舗での販売のために、平均単価 5,000 円以上の中・高価格帯 のブランドをそろえている。エイジングケア、目元ケア、スキンケアといった消 費者の需要に応じてシリーズ化している。テーマ性をもったニッチ分野を開 拓することに注力している。サロン向けとは異なり、化粧品だけでなくサプリ メントのラインナップも用意している。

◆ ビジネスモデルの特徴(1)~ 販売チャネルごとのマーケティング
日本の化粧品を中国へ輸出する場合の制約条件があるため、中国への製 品投入は、販売チャネルごとに決められている。サロン専売ブランドは、一 般貿易によって輸出されるため、製品ごとにNMPA 注 1の承認が必要となる。 同社のサロン専売ブランドの製品はすべて NMPA の承認を取得している。

EC で販売される製品は越境 EC での取り扱いとなるため、NMAP の承認は 必要としない。その分参入障壁が低いため、マーケティング等の仕組みが 必要となる。同社では、まず RED と Taobao に育成品として製品を投入し、 Taobao の出店者を囲い込みながら、出店者からのフィードバックを集めて改 良を加えていく(ボトムアップマーケティング)。その製品が主力品に育つと、 T-Mall に投入するという流れをとっている。T-Mall ではイメージ戦略を駆使 するなどのブランディングを行うとともに、T Mall Global と戦略的提携関係 にあるため、T-Mall で収集されたビッグデータをマーケティングに活用して いる(トップダウンマーケティング)。

このように、販売チャネルの特徴を活かしながら、最適な製品投入及びマー ケティングを行っている。

◆ ビジネスモデルの特徴(2)~ 製造と開発
同社はファブレスメーカーであり、製品の製造は外部に委託している。製造 委託先は化粧品、サプリメントとも国内に複数社あるが、中でもシーエスラボ (東京都豊島区)が最大の委託先で、同社の外注費の 75.6%を占めている。 なお、製造拠点の分散を図るため、シーエスラボの 4 工場で同社の製品が 製造されている模様である。

一方、製品開発は、中国市場におけるブランド差別化のため、成分構成、 容器、外箱まですべて自社企画としている。また、ブランド価値を維持する ために、包装、出荷・在庫管理はすべて内製化している。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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