(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 新常態への新たな取組に期待

2021/02/04

 

 

泉澤 豊 会長

株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表取締役会長

泉澤 豊

代表取締役社長

上山 富彦

所在地

千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1

決算月

2月

HP

http://www.cvs-bayarea.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

391円

4,936,269株

1,930百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

1,006.48円

0.4倍

*株価は1/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2020年2月期実績。時価総額は1/15終値×自己株式控除後発行済株式数、数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

営業総収入

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2017年2月(実)

29,452

-33

213

94

19.13

10.00

2018年2月(実)

29,394

13

90

-279

20.00

2019年2月(実)

10,916

31

-28

3,801

770.04

30.00

2020年2月(実)

10,427

37

165

-401

20.00

2021年2月(予)

7,500

-570

-470

-780

未定

*単位:百万円、円
*予想は会社予想。

 

 

シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2021年2月期第3四半期決算と2021年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年2月期第3四半期決算
3.2021年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/2期3Q累計は前年同期比30.5%減収、経常損失は2億77百万円(前年同期は2億21百万円の利益)。マンションフロントサービス事業は引き続き安定した収益を確保、コンビニ事業においても収益の改善が進んだ。一方、ホテル事業はJR市川塩浜駅前で運営する「CVS・BAYHOTEL」の増築棟を10月中旬に開業、一時は宿泊者数が大きく伸長するなど明るさが見られたが、客室単価が前年を大きく下回って推移したほか、ユニッ ト型ホテルでは、休業中の2施設について閉店を決定するなど厳しい状況が続いた。

     

  • 21/2期は28.1%減収、経常損失4億70百万円を見込む。コンビニ事業では、通期でのセグメント利益の確保を想定する。一方、主力事業であるホテル事業は、7月末に「BAY HOTEL 東京浜松町」を開業したほか、10月中旬に「CVS・BAY HOTEL」の増築棟を開業した。例年1月、2月は宿泊需要の閑散期であることに加え、12月下旬以降「GoTo キャンペーン」の一時停止の措置が行われていることから、同期間の宿泊需要は伸び悩んで推移することを見込んでいる。マンションフロントサービス事業においては、安定した収益の確保を見込んでいる。クリーニング事業は、当面苦戦が続くと見込んだ。22/2期についてはホテル事業の回復が見込めるほか、バーベキュー施設を開業予定。

     

  • 新型コロナウイルス感染症の蔓延・再拡大の影響により、特にホテル事業が打撃を受け、大幅減収、損失を余儀なくされた。一方、マンションフロントサービス事業で利益率が大幅改善、今後は新しい生活様式に対応したサービスにも期待。21/2期はほぼ年を通じて「コロナ禍一色」となりそうだ。しかし、来期を見据えるとその反動が大きく生じるだろう。バーベキュー施設の展開にも期待。株価は低調に推移しており、PBRは0.4倍台にとどまる。時価総額は20億円程度だが、現預金は17億78百万円、有価証券、投資有価証券も合わせると大幅に下回る。来期の大幅な回復を想定すると株価は評価不足の水準にあると考える。

     

1.会社概要

(1)沿革

1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニエンス・ストア(コンビニ)事業をスタート。その後、クリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。2009年11月に千葉県市川市ビジネスホテルの1号店となる「CVS・BAY HOTEL」を開業し、ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニ事業の一部を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡した。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ホテル事業の更なる強化のほかM&Aなどにより、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:JASDAQ)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格している。

(2)19/2期以後の主な事業内容

(同社決算説明会資料より)

 

コンビニ事業を除いた20/2期の売上(事業収入)構成比はトップがマンションフロントサービス事業、2位がホテル事業、3位がクリーニング事業となっている。
19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となっているが、コンビニ事業も一部継続しているほか、ホテル事業の拡大、早期収益化に向けた各種施策の実行による既存ユニット型ホテル施設の早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指す。

 

売上高

2017年2月期

2018年2月期

2019年2月期

2020年2月期

マンションフロントサービス事業

5,640

5,802

5,775

5,587

ホテル事業

1,130

1,405

1,680

1,639

クリーニング事業

1,190

1,219

1,248

1,159

*単位:百万円

 

①マンションフロントサービス事業
2019年2月以降の主力事業。連結子会社(株)アスクのほか地域運営会社3社が提供。

 

【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛けている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に815件(2020年11月末時点)の施設などを受託。マンション内の居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指している。

 

②ホテル事業
今後の成長性や事業規模の観点から同社が最も注力しているのがホテル事業である。

【事業概要】
ホテル事業は、ビジネスユース及びレジャーユースを対象とし、千葉県市川市に始まり、18年6月より浦安市、20年7月より東京都港区で運営を行っている「ビジネスホテル事業」と、低価格ながらもより快適な空間を提供することで新たな需要を取り込むことを目指す「ユニット型ホテル事業」によって構成されている。

 

<ビジネスホテル事業>
(概要)
JR京葉線市川塩浜駅前の自社所有地で、コンビニ併設の108室規模(シングル21室、ダブル46室、ツイン41室)のビジネスホテル「CVS・BAY HOEL」を09年12月に開業した。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。

 

(同社HPより)

 

近隣テーマパークの入園者や、都心部でのインバウンド顧客の需要増加を背景に、15年12月には隣接する借地においてシングル/ダブル11室、ツイン38室、ファミリー2室、ユニット区画20室(女性専用)、3階建ての新館を開業した。本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。
女性専用ユニット区画は安心清潔が評価されている。

 

<CVS BAY HOTEL ベイタワー>
 JR 京葉線 市川塩浜駅 徒歩1分、市川塩浜駅前エリアにおいて、3棟目となるホテルを開業した。
客室数は107室(シングル42、ツイン63、トリプル2)、10月16日にオープン。本館と連絡通路で接続しており、1階には飲食テナントが入居するほか、2階には大浴場やセミナールームを完備するなど、旅行や出張、企業研修などの様々な用途で利用できるホテルとなっている。手前が本館、奥が10月16日にオープンしたベイタワー。

(同社HPより)

 

<BAY HOTEL東京浜松町>
ビジネスホテルとして東京初進出となる「BAYHOTEL東京浜松町を20年7月より開業。
ビジネスホテルとユニット型ホテルを組み合わせた新たなタイプのハイブリッドホテルとして、ビジネスマンやバックパッカーのみならず日本人旅行者やグループ利用にも対応した宿泊形式を採用し、幅広い宿泊需要の獲得を目指している。

 

 

 

 

 

(同社HPより)

 

<ユニット型ホテル事業>
(出店時の背景)
都心部を中心に増加を続ける「宿泊需要」は量だけでなく、質にも大きな変化が生じている。
国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への1,000円バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設。
これらを背景に国内では都心部の宿泊料金上昇に伴い低価格な宿泊施設への需要が増加。また、海外からの訪日経験者が増えるに従い、気軽な旅行者が増加し、低価格化した交通費と合わせた旅行費用の低予算化が進んでいる。
一方、従来の都心での宿泊事情は、観光客、ビジネス客、女性客がシティホテルやビジネスホテルを利用するのに対して、価格の安いカプセルホテルは仕事や飲酒で終電に乗り遅れた客が利用するもので、「自宅の睡眠替わり」、「安いが汚い」といった芳しくないイメージが定着していた。
こうした中、宿泊需要を獲得するためには若者や女性、外国人観光客など新たな顧客層を獲得するためのイノベーションが不可欠と考えた同社が、より快適で安心な空間を低価格で提供することでこれらの需要を取り込むためにスタートさせたのが「スマートホテル」である。

 

(概要)
「スマートホテル」は、賃借した既存建物をコンバージョンして運営するユニット型ホテル。第1号物件として15年7月に「東京銀座BAY HOTEL」を開業。21年1月末現在、東京都心を中心に4施設の運営を行っている。
「日本らしさ」をコンセプトに内装やユニフォームを統一。また、「共有スペース」や「パブリックスペース」などをゆとりある配置とすることで出張や観光需要にとどまらず女性客や外国人観光客獲得を目指している。

 

(新型コロナウイルス感染症による影響大きく、2施設の営業再開を断念)
しかし新型コロナウイルス感染症の影響を受けた。一時は全施設が休業を余儀なくされた。2施設を夏から営業を再開したものの都心部の宿泊需要は、10月中旬以降、回復基調を辿っている中、ビジネスホテルの宿泊価格が大幅に値下がりし、ユニット型ホテルとの価格差が僅差である状況が続いている。今後、価格優位性を確保するまでには相当の期間を要すると判断し、2施設については営業再開を断念し、閉店を決定したほか、再度の緊急事態宣言の発出を受け再び全施設が休業中。。
なお、休業中のユニット型ホテル3施設のうち「東京有明 BAY HOTEL」については、2021年開催予定の東京オリンピック開催時においては、運営関連企業の宿泊先として一棟貸切での予約があるため、運営を再開する予定。その他の期間や他2施設については、引き続き国内外の感染状況、東京オリンピック開催の動向に注視し、再開時期の検討を進める。

 

15年7月開業

 

東京銀座BAY HOTEL     228ユニット(M156・W72)

東京都中央区銀座7丁目

銀座初のユニット型宿泊施設

4駅6路線が徒歩10分以内で利用できる好立地

15年12月開業

 

東京有明BAY HOTEL      146ユニット(M80・W66)

東京都江東区東雲2丁目

りんかい線東雲駅4分

ビッグサイト利用者に加え、舞浜やお台場の観光客も活用

16年1月開業

 

日本橋室町BAY HOTEL    236ユニット(M142・W94)

東京都中央区本町2丁目

新日本橋駅徒歩4分、三越前駅徒歩3分

福徳神社近隣に、和を感じられる施設として開業

16年5月開業

 

秋葉原BAY HOTEL           130ユニット(W130)

東京都千代田区神田練塀町

いずれの秋葉原駅からも徒歩3分

同社初の女性専用ホテル

(同社資料、HPよりインベストメントブリッジ作成)

2.2021年2月期第3四半期決算

(1)連結業績

 

20/2期 3Q累計

構成比

21/2期 3Q累計

構成比

前年同期比

営業総収入

7,978

100.0%

5,543

100.0%

-30.5%

営業総利益

2,897

36.3%

1,454

26.2%

-49.8%

販管費

2,845

35.7%

1,860

33.6%

-34.6%

営業利益

51

0.7%

-406

経常利益

221

2.8%

-277

親会社株主に帰属する

四半期純利益

215

2.7%

-593

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比30.5%の減収、2億77百万円の経常損失
営業総収入は前年同期比30.5%減の55億43百万円。マンションフロントサービス事業は引き続き安定した収益を確保したほか、コンビニ事業においても収益の改善が進んだ。一方、ホテル事業は開業を延期していた既存ビジネスホテル増築棟を10月中旬に開業し、収益の確保に向けた取り組みを一層進めるとともに、新規感染者数が小康状態で推移していた10月から11月にかけては、宿泊者数は大きく伸長するなど明るさが見られた。しかし、客室単価が前年を大きく下回って推移したほか、ユニッ ト型ホテルにおいても、休業中の2施設については閉店を決定するなど、厳しい状況が続いた。
営業損失は4億6百万円(前年同期は51百万円の利益)。宿泊者数や来店客数の大幅な減少を受け、運営コストの削減に取り組むとともに、家主から賃料の減額に取り組んだ。このほか、ホテル事業及び管理部門の一部社員において、一時帰休を実施したことに加え、役員報酬の減額などの人件費の削減に努めたが、損失を余儀なくされた。一方、投資有価証券売却益68百万円のほか、千葉市美浜区に保有する投資不動産の運用益に加え、グループ各社における臨時休業や一時帰休に伴う雇用調整助成金を計上したことなどにより、経常損失は2億77百万円(前年同期は2億21百万円の利益)。休業中のホテル施設における9月中旬までの賃料などの固定費を臨時休業による損失として計上したほか、ユニット型ホテル2施設の閉店に伴う、店舗閉鎖損失引当金繰入額及び営業中のホテル1施設の固定資産の減損損失を特別損失として計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は5億93百万円(前年同期は2億15百万円の利益)となった。

 

セグメント別収益

 

20/2期 3Q累計

構成比

/利益率

21/2期 3Q累計

構成比

/利益率

前年同期比

ホテル事業

1,284

15.9%

172

3.1%

-86.6%

マンションフロントサービス事業

4,225

52.2%

3,704

65.9%

-12.3%

クリーニング事業

921

11.4%

600

10.7%

-34.9%

コンビニ事業

1,503

18.6%

997

17.7%

-33.6%

その他事業

165

2.0%

148

2.6%

-10.1%

消去・全社

-120

-79

営業総収入

7,978

100.0%

5,543

100.0%

-30.5%

ホテル事業

140

10.9%

-328

マンションフロントサービス事業

134

3.2%

259

7.0%

+93.1%

クリーニング事業

48

5.3%

13

2.2%

-72.7%

コンビニ事業

71

4.8%

14

1.4%

-80.4%

その他事業

18

11.0%

14

9.7%

-20.2%

調整額

-361

-379

セグメント利益

51

0.7%

-406

*単位:百万円
*売上高は構成比、営業利益は営業総収入利益率
*数値は切捨て、率は四捨五入

 

ホテル事業
事業収入1億72百万円(前年同期比86.6%減)、セグメント損失3億28百万円(前年同期は1億40百万円の利益)。
ホテル業界においては、新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、国内イベントの相次ぐ中止や外国人旅行者の激減などにより、国内の宿泊需要は3月以降急激に減少した。「GoTo キャンペーン」による需要喚起などにより、10月以降、国内全体の宿泊需要は大きく改善が進んだ。しかし、国内の新規感染者数が再び増加傾向となったことを受け、12月中旬以降、同キャンペーンの一時停止の措置が行われたことに加え、1月に入り再び緊急事態宣言が発出されるなど、依然として先行き不透明な状況にある。
ビジネスホテルにおいては、7月末に同社ビジネスホテルとして東京初進出となる「BAY HOTEL東京浜松町」を開業したほか、10月中旬にはJR市川塩浜駅前で運営する「CVS・BAY HOTEL」の増築棟を開業し、ビジネスホテルの総客室数は全361室となった。新規感染者数が小康状態で推移していた10月から11月にかけては、宿泊者数は大きく伸長し、週末の客室販売数は前年を超えるなど明るさが見られた。一方、ファミリーやカップル、友人などの複数人での利用は依然として戻りが弱いことや、競合するビジネスホテルが稼働率を重視し大幅な値下げ販売を継続している影響を受け、客室単価は大きく前年を下回って推移しており、苦戦が続いている。ユニット型ホテルにおいては、7月1日以降、一部施設の運営を再開し、メディアコンテンツとのコラボ企画を継続して実施しており、コラボルームの稼働率は堅調に推移している。しかし、通常のユニット区画の稼働率は低調に推移するなど苦戦が続いている。前述の通り、休業中の施設のうち、「東京駅前BAY HOTEL」及び「田町BAY HOTEL」の2施設については閉店を行うことを決定した。現在は1施設のみ運営を行っている。

 

マンションフロントサービス事業
事業収入37億4百万円(前年同期比12.3%減)、セグメント利益2億59百万円(同93.1%増)。
4月から5月にかけて、緊急事態宣言が発出された際には、管理会社や管理組合からの要請や従業員の安全を考慮し、一部物件において臨時休業や時短営業及び一部サービスの提供を中止していた。5月末にはほぼ全ての物件において営業を再開しており、2Q以降のマンション管理費売上は、概ね計画通りに推移している。一方、マンション内のフリースペースを活用したイベント開催支援サービスが当面の期間実施が難しくなっていることに加え、在宅勤務の増加などによりフロントでのクリーニング取扱高が減少していることで、付帯売上については計画を下回って推移した。3Q末現在における総受注件数は、815件となった。事業取得時ののれん償却が前期に終了したことなどにより、前年同期比で増益となった。

 

クリーニング事業
事業収入6億円(前年同期比34.9%減)、セグメント利益13百万円(同72.7%減)。
5月の緊急事態宣言の解除以降、取引先の営業再開に伴い、売上高は改善傾向が見られている。しかし、クリーニング需要の年間ピークは例年春先であることに加え、ホテルリネンにおいては依然として大幅な減少が続いているほか、在宅勤務の普及によるYシャツ、スーツのクリーニングの減少傾向が続いている。

 

コンビニ事業
事業収入9億97百万円(前年同期比33.6%減)、セグメント利益14百万円(同80.4%減)。
同社の強みである独創性を持った店舗作りを目指し、フランチャイズ本部が推進する各種施策に加え、新型コロナウイルス感染症による消費行動の変化に対応していくため、住宅立地の店舗においては、日配食品の販売強化のほか、青果の専門業者との新規取引を開始するなどの取り組みを進めている。一方、大規模展示場や観光施設の近隣などに面している店舗においては、各種イベント中止や観光客の激減、オフィスビルの昼間人口の減少などを受け、来店客数の大幅な減少が続いていた。しかし、大規模展示場でのイベントが段階的に再開されるとともに、売上高の改善が進んできており、7月以降は単月でのセグメント利益の確保が続いている。

 

その他事業
事業収入1億48百万円(前年同期比10.1%減)、セグメント利益14百万円(同20.2%減)。
その他事業では、事業用不動産の保有や賃貸管理のほか、ヘアカットサービス店舗の運営など、各種サービスの提供を行っている。新型コロナウイルス感染症の拡大により、ヘアカットサービスの一部店舗で臨時休業を実施したことや、千葉県成田市にて3月開業予定のバーベキュー施設の開業に向けた初期費用を計上したこともあり減収減益となった。

 

(2)財政状態

 

20年2月

20年11月

 

20年2月

20年11月

現預金

1,605

1,778

仕入債務

217

196

売上債権

480

454

短期有利子負債

1,738

1,134

有価証券

350

流動負債

3,064

2,504

たな卸資産

71

68

長期有利子負債

2,489

3,699

流動資産

3,232

2,992

長期預り保証金

376

373

有形固定資産

4,181

4,623

固定負債

3,335

4,400

無形固定資産

73

76

純資産

4,968

4,285

投資その他

3,881

3,498

負債・純資産合計

11,368

11,190

固定資産

8,135

8,198

有利子負債合計

4,227

4,834

*単位:百万円
*有利子負債=借入金+リース債務(長期のみ)

 

3Q末における資産合計は、前期末比1億77百万円減少し、111億90百万円となった。流動資産は2億40百万円減少、そのおもな要因は現預金1億72百万円、有価証券3億50百万円が増加した一方で、未収還付法人税等が7億59百万円減少したこと等によるもの。固定資産は62百万円増加、そのおもな要因はホテル開業による建物14億42百万円が増加した一方で、建設仮勘定が10億52百万円、投資有価証券が3億5百万円減少したこと等によるもの。
負債合計は、前期末比5億4百万円増加し、69億4百万円となった。流動負債は5億59百万円減少、おもに短期借入金6億円50百万円減少に等によるもの。一方、固定負債は10億64百万円増加、おもに長期借入金12億12百万円増加等によるもの。
純資産は、前期末比6億82百万円減少し、42億85百万円。そのおもな要因は剰余金の配当を行ったほか、親会社株主に帰属する四半期純損失を 5億93百万円計上したことによるもの。

 

 

3.2021年2月期業績予想

(1)通期連結業績

 

20/2期 実績

構成比

21/2期 予想

構成比

前期比

営業総収入

10,427

100.0%

7,500

100.0%

-28.1%

営業利益

37

0.3%

-570

経常利益

165

1.5%

-470

親会社株主に帰属する当期純利益

-401

-780

*単位:百万円

 

21.2期は28.1%減収、経常損失4億70百万円を見込む
新型コロナウイルス感染症の影響による、都心部の宿泊需要の大幅な減少を受け、休業していたユニット型ホテル5施設の今後の営業方針について検討中のため、上期までは業績予想を未定としていたが、2施設の閉店決定及び減損損失の計上を踏まえ、業績予想を開示した。コンビニ事業では、主力店舗近隣の大型展示場において、イベントが段階的に再開されたことで、売上高の改善が進んでおり、通期でのセグメント利益の確保を想定する。一方、主力事業であるホテル事業においては、7月末に東京都港区に「BAY HOTEL 東京浜松町」を開業したほか、10月中旬に千葉県市川市で運営するビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の増築棟を開業した。新規感染者数が小康状態で推移していた10月から11月にかけては、宿泊者数は大きく伸長し、週末の客室販売数は前年を超えていたものの、ファミリーやカップル、友人などの複数人での利用は依然として戻りが弱い。また、競合するビジネスホテルが稼働率を重視し大幅な値下げ販売を継続している影響を受け、客室単価は大きく前年を割っており、苦戦が続いている。今後、宿泊需要は3月中旬から4月上旬の春休み期間は回復することを期待している。一方で、例年1月、2月は宿泊需要の閑散期であることに加え、12月下旬以降「GoTo キャンペーン」の一時停止の措置が行われていることから、同期間の宿泊需要は伸び悩んで推移することを見込んでいる。なお、休業中のホテル施設の賃料等の費用については、これまで特別損失として計上していたが、東京都における飲食店などへの営業時間の時短要請が一時的に解除された9月中旬以降の期間については営業経費として計上している一方、閉店するホテル2施設の店舗閉鎖損失引当金に加え、運営するビジネスホテル1施設の固定資産の減損損失を特別損失として計上している。 また、マンションフロントサービス事業においては、2Q以降は全ての物件でフロントサービスを再開しており、クリーニングなどの付帯売上の苦戦が見られるものの、管理費売上については、概ね計画通りに推移しており、安定した収益の確保を見込んでいる。一方、クリーニング事業においては、在宅勤務の増加によるYシャツ、スーツのクリーニング需要の低下やホテル向けリネンサービスの減少により、売上高、収益ともに前年を大きく下回っており、現状の傾向が当連結会計年度期間中も継続することを想定し、業績予想を作成している。

 

22/2期については、春休みやゴールデンウイーク期間においては、「GoTo キャンペーン」を活用したレジャー需要の増加により、各施設の稼働率は大きく伸長することが期待できる。また、東京オリンピック開催時においては、ユニット型ホテルの一部施設は運営関連企業の宿泊先として一棟貸切でご利用することが決定しているほか、年後半以降はワクチンの普及により、大型イベントなどが再開し、都心の宿泊需要は急速に回復が進んでいくことで、ホテル事業においては収益の大幅改善に期待。また、マンションフロントサービス事業においても引き続き安定した収益の確保を見込んでいるほか、コンビニ事業においても、主力店舗の近隣の大規模展示場でのイベント開催が東京オリンピック終了後、本格的に再開していくことで増収となることが想定される。また、同社が前期から保有する千葉県成田市の土地の有効活用として、野外バーベキュー施設の開業を予定しており、需要の変化に対応した新たな宿泊サービスの開拓に向けたマーケティングの場としても活用する考え。

 

*株主優待制度
17年2月末より「ユニット型ホテル」6施設で使用できる株主優待制度を導入し運用してきたが、19年2月15日に「利用可能施設の追加」、「大口保有優遇制度の導入」、「長期保有優遇制度の導入」等の変更を発表した。
なお、有効期限が2021年2月28日までの優待券については、有効期限を5月31日までに延長している。

 

株主優待制度の内容

 

利用期間等については同社HP 株主優待制度のご案内 QAを参照
http://www.cvs-bayarea.co.jp/ir/meeting.html
利用可能施設
スマートホテル

ビジネスホテル

(同社HPより)

 

株主数の増加に加え、優待券利用者による「広告宣伝効果」や「再宿泊需要の増加」にも期待している。
なお、春休み、年度末、花見、GWシーズン期間中は、宿泊需要が旺盛で、稼働率が高い期間が続くことなどを考慮して、優待利用可能期間から除外しているとのこと。

4.今後の注目点

新型コロナの影響が特にホテル事業において打撃を受け、大幅減収、損失を余儀なくされた。一方、マンションフロントサービス事業については前期までに取り組んできた採算性重視の施策が功を奏したこともあり、12.3%減収ながらセグメント利益は93.1%増と利益率を大幅に改善させている。今後は新しい生活様式に対応したサービスにも期待したい。
1月から再び緊急事態宣言が発令されたことにより、21/2はほぼ年を通じて「コロナ禍一色」となりそうだ。しかし、来期を見据えるとその反動が大きく生じる可能性が高い。緊急事態宣言解除に伴う旅行需要の復活に加え、ワクチンが浸透すれば大幅な回復が期待できそうだ。また、新常態への新たな取り組みとして屋外バーベキュー施設の運営を始める。今後の展開に期待したい。株価は低調に推移しており、PBRは0.4倍台にとどまる。時価総額は20億円程度で推移しているが、20年11月末の同社の現預金は17億78百万円、投資有価証券7億20百万円、有価証券3億50百万円を合わせると大幅に下回っている。来期の大幅な回復を想定すると株価は評価不足の水準にあると考える。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員除く)

8名、うち社外取締役 4名

監査等委員

3名、うち社外取締役 3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日 2020年5月29日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、株主の皆様やお客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーと適切な関係を構築し、社会的責任を果たしていくことであると考えております。この考え方は、当社の経営理念として制定している「明日への誓い」のなかで、全てのステークホルダーに対して“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営を目指していくことを掲げていることに基づくものです。そのためには、法令遵守のほか、経営の透明性や効率性をより一層高めていくことが不可欠であり、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

法令順守においては、企業理念を具現化した「企業行動基準」を定め、同基準を当社グループに横断的に運用しているほか、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配布しており、当社グループの全社員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を実施しております。

 

当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の透明性や監督機能の強化を図ることを目的としております。また、当社の職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、業務執行取締役や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。

 

<コーポレートガバナンスコードの各原則を実施しないおもな理由>
補充原則1-2-4.議決権行使プラットフォームの利用及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示や提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳及び英語での情報開示は実施しておりません。今後につきましては株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。

 

原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者及びその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者及びその関係者が議決権の過半数近くを所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。
また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。
収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実をはかりつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。

 

原則3-1.情報開示の充実(1)会社の目指すところや経営戦略、経営計画
補充原則4-1-2.中期経営計画へのコミットメント
2018年3月1日に主力事業であったコンビニエンス・ストア事業の一部を吸収分割契約に基づき他社に承継し、同日以降、店舗数を大幅に縮小したことを受け、今後は新たな事業の創出による収益の確立に努めていく方針であることや、ホテル事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全てのユニット型ホテルが臨時休業を行っていることに加え、本年に開業を予定しております2棟のホテル施設におきましても、開業日を一旦未定とさせていただくなど、今後の収支計画を立てることが現時点において困難であることから、現在、中長期の経営計画の開示を行っておりません。

 

補充原則4-3-2.客観性・適時性・透明性ある手続きによるCEOの選任
補充原則4-3-3.CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
当社では、独立した諮問委員会を設置しておりませんが、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、取締役会において、独立社外取締役の適切な関与・助言を得た上で、CEOの選解任を決議することとしております。

 

補充原則4-10-1.任意の委員会の設置
当社は、機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役4名によって取締役会を構成しており、当社の企業規模などを鑑み、現状の体制が適切であると判断しております。任意の仕組みの活用については、現時点においては設置しておりませんが、企業規模の拡大など、必要に応じ検討いたします。

 

補充原則4-11-1.取締役の選任に関する方針及び手続き
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の人数は9名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定款で定めております。
取締役会は取締役5名(監査等委員である取締役を除く)、監査等委員である取締役3名で構成されており、当社の事業規模、事業内容において、経営の効率性を確保する観点から、現状の規模は適正であると考えております。また、その人選においては、各事業分野に精通した人物を選任し、知識・経験・能力のバランスを確保するよう努めております。取締役会の国際性については、当社の事業範囲が国内に限定されているため、現時点においては検討しておりませんが、ジェンダーの面については、その重要性は認識しております。しかしながら、上場から20年近くを経た2018年3月に大規模な会社分割を行ったことにより、現在は40代後半から50代の社員が数名しかおらず、知識・経験・能力ともに選任要件を満たす社内人材が男女限らず不足していることや、役員報酬の総額についても事業規模に見合った水準に抑えており、多様性を確保するだけに、役員を登用することについては、その必要性を含め今後も取締役会において議論してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
原則1-4.いわゆる政策保有株式
当社は、政策保有株式を保有しておりませんが、保有する場合には、「業務提携、取引の維持・強化及び株式の安定等の保有目的の合理性」を検討し取締役会で諮ることとします。また、政策保有株式を保有した場合の議決権行使については、当社と投資先企業双方の持続的成長と、中長期的な企業価値向上に資するかを基準として総合的に判断するほか、政策保有株主との取引については経済合理性が十分か検証したうえで、決定いたします。

 

原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度は導入しておりません。

 

原則3-1.情報開示の充実
(3)経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続当社の取締役・監査等委員の報酬は株主総会で決議された役員報酬額の範囲内において、その職責や資質、貢献等を基に算出しております。取締役の報酬は独立社外取締役が出席する取締役会、監査等委員の報酬は監査等委員会で協議を行い決定しているほか、取締役の報酬については監査等委員会がその妥当性を監査しております。

 

(4)取締役の選解任及び指名の方針と手続当社取締役会は、経営陣幹部の選任については、それぞれの経験・実績等を分析しながら、その資質や人格を十分に有する者を指名し、社外取締役候補者については、取締役会全体の監督・監視機能の強化を図るべく、多様な知見や豊富な経験を持つ候補者をそれぞれ指名しております。なお、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会の同意を得ることとしております。経営陣幹部の選任にあたっては、上記の選任要件をもとに取締役会が選任した候補者の議案について独立社外取締役が出席する監査等委員会において適切かどうか検討を行ったのち、取締役会において決議します。経営陣幹部の職務執行に重大な法令・規則違反等があった場合や取締役としての資質や職務遂行能力を満たさないと判断した場合は、取締役会において、独立社外取締役が出席することを必須要件として、役付けの罷免を決議することとしております。

 

原則4-2-1 客観性・透明性のある経営陣の報酬制度の設計および具体的な報酬額の決定
経営陣の具体的な報酬を決定するにあたっては、事前に独立社外取締役を含む監査等委員会がその内容を審議することで、客観性・透明性ある手続きを確保してまいります。

 

2020年5月29日開示コーポレートガバナンスの状況より

 

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