2026年春闘の現在地
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◆今年の春闘も折り返し、ここまでのところ順調
4月17日、2026年春闘(春季生活闘争)の第4回集計結果が連合(日本労働組合総連合会)から発表されました。例年、春闘の回答集計は第7回が最終とされており、第4回集計は折り返し地点を過ぎた段階といえます。第4回集計結果によると、平均賃上げ率は5.08%でした。昨年11月に示された春季生活闘争方針である「全体の賃上げの目安を5%以上」を踏まえると、ここまでの進捗は順調といえるでしょう【図1】。一方、足元では中東情勢を巡る不確実性が続いており、企業業績への影響も懸念されます。こうした状況は、今年の賃上げに影響するのでしょうか。
◆中東情勢を巡る懸念はあるものの、今年の春闘への影響は限定的
結論として、2026年の賃上げ全体への影響は大きくないと考えられます。本稿では、春闘賃上げ率を統計的手法により複数の要因に分解しました【図2】。これを見ると、毎年の賃上げ率は前年の賃上げ率が強く影響していることが分かります。これは、経済状況に極端な変化がなければ、賃金交渉では前年実績が基準となるためと考えられます。次に大きな要因が物価上昇です。東京商工リサーチ(※)によれば、規模にかかわらず約65%の企業が、賃上げ理由として「物価高への対応」を挙げています。人手不足に直面する企業では、従業員の離職を防ぐためにも物価上昇に見合う賃上げが必要とされるのでしょう。また、人件費を含むコストの製品価格への転嫁が以前より進みやすくなっているため、賃金と物価の相互関係が強まっている可能性も考えられます。さらに、これらに加えて、前年度の売上高や、それを踏まえた期初(3月時点)の見通しが、各年の賃上げ率に影響する姿となっています。
(※)東京商工リサーチTSRインサイト(2026年2月20日)「2026年度の『賃上げ』実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下」
◆来年以降の賃上げに影響が及ぶ可能性も
以上を踏まえると、今年の賃上げ率は、昨年の賃上げ実績とインフレ率の影響を受けて、相応に高い水準になることが見込まれます。図2に示した要因分解を前提とした筆者の試算によると、今年も5%程度の賃上げは実現可能とみられます。足元のイラン情勢を巡る不確実性や原油価格高騰は、今年度の売上高見通しの下方修正などが影響する可能性はあるものの、全体への寄与はさほど大きくないと思われます。ただ、緊迫した状況の長期化や経済への影響の波及次第では、今年度以降の企業業績悪化や見通しの下振れ、さらには国内景気悪化による物価の下振れなどが、来年以降の賃上げ率を下押しする要因となり得ます。
今年の賃上げは、昨年までの流れを受けた高い水準が見込まれます。一方、中東情勢の帰すうが、来年以降の賃上げのモメンタムを低下させかねない点には注意が必要です。
(シニアエコノミスト 藤本 啓)
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