ダボスで輝きを放ったのは?
当社サイトはこちら→三井住友トラスト・アセットマネジメント 投資INSIDE-OUT
先の1月19~23日に、毎年恒例のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会@スイス)が開催されました。「エリート達による結論のない議論」などと揶揄する声は根強くあるものの、今年もグローバルリーダーが集い、世界経済や地政学、ビジネスを巡る重厚な議論が交わされました。
会議全体を通して目立っていたのは議論の内容よりも、やはり、トランプ米大統領でした。ダボスへ向けて米国を飛び立った政府専用機(エアフォースワン)が機材トラブルのため一時帰還するハプニングがあり、「今年のダボスは離陸前から波乱含みか?」と警戒が広がりました。ダボスにたどり着いたトランプ氏は案の定、関税政策やグリーンランドを巡る“トランプ節”で大いに注目を集めました。ガザ地区の暫定統治など世界の紛争解決をめざす「平和評議会」の発足式典を開き、自身が終身議長に就くと発表したことにも驚かされました。
◆欧州リーダー達の無言のメッセージ
欧州勢からは米国側に対し、厳しめの反応が目立ちました。例えば、「平和評議会」には、ほとんどの欧州諸国が参加していません。トランプ氏の恣意的な運営や、「第2の国連」を作るような動きを警戒したためとみられます。
より露骨な「嫌米」姿勢も話題になりました。関係者によると、ECB(欧州中央銀行)のラガルド総裁が、夕食会でのラトニック米商務長官のスピーチの途中で席を立ちました。「国際政治においては、スピーチ原稿より椅子の引き方のほうが重要な時がある」とも言われます。ラガルド氏やECBはこれについてコメントしていませんが、ラトニック長官による欧州への厳しい意見に反発の姿勢を示したとみられています。
マクロン仏大統領のサングラス姿も注目を集めました。「一時的な目の不調」が本当の理由のようですが、眼帯などでなく、あえて米軍やハリウッド映画を連想させるティアドロップ型のサングラスを使用したとみられています。視線を遮るサングラスが、かえって多くの視線を集めました。「米国のことはわかっているよ。うまく使わせてもらうぜ」と言わんばかりの、やや上から目線にも見える政治的演出は秀逸でした。ちなみに、報道によると、大統領が使用したモデルは659ユーロ(約12万円)となかなかの高額ですが、仏国内で一気に人気商品になったようです。
◆最も輝きを放ったカナダ・カーニー首相
並み居る役者たちをおさえて、今回最も輝きを放った人はカナダのカーニー首相だったと思われます。パフォーマンスではなく内容でしっかり話題をさらったのは、さすがでした。カーニー首相は、戯曲家ハヴェルのエッセイになぞらえて、人々が「建前の看板」を掲げ続けると、結果として抑圧的な体制を強化してしまうと説きました。従来の国際秩序は終わったと断じ、カナダなどの中堅国家は一貫した価値観を掲げ、連携することが重要だと訴えました。特定の国名を挙げなくとも、聴衆が誰のことを思い浮かべたかは、おそらく一致していたでしょう。首相はスタンディングオベーションを受けました。
◆最も影響力があったのはマーケット?
警戒されたグリーンランド領有問題を巡る米欧対立は、結果的には1月21日にトランプ大統領が欧州向け関税を引き下げると表明し、過度の懸念がいったん落ち着きました。トランプ氏を翻意(TACO※)させたのは、欧州リーダーたちのメッセージでも、カーニー首相の名演説でもなく、金融市場の混乱だったとみられます。時に欧米の政治リーダたちをも凌駕するマーケットの力の強大さが改めて印象付けられたように思います。
今回、日本勢はあまり目立ちませんでした。会議に出席していた片山財務相は、帰国後に「マーケットの狼狽、ショックはダボスでの私の説明によって収まったように思います。数字がそうなっていますから」と述べていました。
※TACO:Trump Always Chickens Out(トランプはいつもおじけづく)
世界のリーダーが集うダボス会議の最中に、米大統領を翻意させたのがマーケットだったのは皮肉でした。重厚な議論はありましたが、今年も「エリート達による結論のない議論」の印象は残りました。
(シニアストラテジスト 稲留 克俊)
- 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません
- ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
- 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
- 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
- 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
- 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。
- 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。