東証、「スタンダード市場の今後の対応」を発表

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◆スタンダード市場は「安定成長を目指す企業に適した市場」に

東京証券取引所は、2023年3月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の要請」を打ち出し、上場企業にガバナンス等の改革を促しています。これまで、プライム市場やグロース市場においては具体的な上場基準を設け、市場の活性化を目指してきました。その結果、プライム、グロース両市場からスタンダード市場への移行を検討する企業も増えてきています。そのような中、9月2日に東証は「スタンダード市場における今後の対応」を発表しました。スタンダード市場を「安定成長を目指す企業に適した市場」と位置付けし、上場企業には資本コストや株価を意識した経営を進めるよう引き続き求めていくとしています。

対応の柱は、①基本的責務の徹底、②ガバナンス強化、③資本効率の改善の促進です。スタンダード市場では大株主のある企業が多く、少数株主保護や適切な情報開示といった最低限の要件を確実に履行することが求められます。また、資本コストや株価を意識した経営への対応においては、現状分析にとどまっており、今後は改善方針の開示についても推進されます。東証は、開示状況のモニタリングや事例共有、ガイドラインの整備を通じて、企業の対応を後押しする方針です。さらに、上場維持基準の遵守を徹底するため、形式基準だけでなく、ガバナンスや資本政策の質的向上を重視する姿勢を明確化しました。これにより、スタンダード市場は「中間に位置付けられる市場」から、「資本市場を活用し成長を目指す企業のための市場」へと進化することが期待されます。

同日公表された資料では、東証による2023年3月の要請から3年目を迎え、企業の取り組み状況が開示されました。2025年7月末時点で、プライム市場への上場企業のうち、91%が東証の要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み」を開示しています。一方、スタンダード市場では、同取り組みの開示企業は48%にとどまっています。

プライム市場で進んでいる改革がスタンダード市場にも浸透すれば、中堅企業の潜在力が引き出され、プライム市場に続く「第二の成長の波」が期待されます。スタンダード市場では、親会社やオーナー社長等の支配株主を有する企業や、政策保有等により、プライム市場と比較しても流通株式比率の低い企業が多いとされています。これら企業のガバナンス改革や資本効率の改善が進むことで、海外投資家の信認を高めることにも繋がるなど、長期資金の流入を促すことも期待されます。

東証の構造改革をきっかけに、企業価値向上を意識した企業が日本市場全体でさらに増えていけば、株式市場の厚みと持続的な成長力が一段と強化されると見込まれます。

プライム市場で始まった資本効率改革の波が、スタンダード市場に広がり、国内株式市場の競争力を底上げすることが期待されそうです。 

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