FRB議長にほめられた記者質問

当社サイトはこちら→三井住友トラスト・アセットマネジメント 投資INSIDE-OUT

◆トランプ大統領就任直後は関税政策に一喜一憂

1月20日に、遂にトランプ米大統領が就任しました。就任直後の金融市場で注目されたのは、やはり関税政策でした。即日の発動を見送ったことで、米ドルの総合的価値を示すドル・インデックスが約1カ月ぶりの水準まで下落する場面がありました。その後、カナダ・メキシコ・中国への関税検討が伝わると、米ドルに買い戻しが入りました。トランプ劇場の始まりを印象付けるかのような、荒っぽい値動きとなりました。

◆インフレ期待が安定していればFRBは利下げ継続?

言うまでもないことですが、世界の金融市場は米国の金融政策に左右されます。そのため、トランプ政策自体にとどまらず、それへのFRB(米連邦準備制度理事会)の対応にも注目していくことが重要でしょう。

その点を考える上で、参考になるやり取りが12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の記者会見でありました。FRB議長の会見は、日銀のそれと違い、記者の所属会社と氏名が公式動画や会見録に明示されます。そのため、日本よりも記者の個性がより際立つ傾向があります。AP通信のChris Rugaber記者は、トランプ関税への対応について、「トランプ氏が大統領だった2018年9月のFOMCで、『インフレ期待が安定していれば、新たな関税を考慮に入れない』というシナリオも議論していたことが明らかになっています。この分析は今も有効ですか?」という趣旨の質問を投げかけました。一般的に、関税の発動は輸入物価の上昇を通じ、国内にインフレ圧力をもたらすとされています。これに対して記者は、インフレ期待が落ち着いていれば、仮に大規模な関税の発動があっても、FRBが利下げを継続できるのかを問うたわけです。

◆第一次政権時のインフレ期待は概ね落ち着いた動き

パウエル議長の回答の趣旨は、「良い論点だと思います。私も今日、たまたまその時の資料をここに持ってきました。これは6年前の分析ですが、なお正しい疑問だと思います」でした。議長はRugaber記者の視点を評価しつつ、今次局面でもインフレ期待を重視する姿勢をにじませました。ちなみに、インフレ期待を測る各種指標(下図)は、第一次トランプ政権時には極端な変調は見られませんでした。

もちろんパウエル議長は、インフレ期待だけで政策を判断すると言っているわけではありませんが、今後の帰すうをしっかり注視していく必要があるでしょう。

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
三井住友トラスト・アセットマネジメントの金融情報調査室が、投資にまつわるコラムをお届けします。
【ご留意事項】
  • 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません
  • ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
  • 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
  • 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
  • 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
  • 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。
  • 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。