米国景気の軟着陸論を疑う!

当社サイトはこちら→三井住友トラスト・アセットマネジメント 投資INSIDE-OUT

◆米国景気の軟着陸論が優勢だが、その「中身」には注意が必要

景気の「ソフトランディング(軟着陸)」とはハードランディング(景気後退)の対義語であり、「景気が緩やかに減速し、経済が安定成長に向かう」ことを指します。25日発表の米4~6月期の実質成長率は前期比年率で+2.8%と8期連続のプラス成長となりました。米国では2022年3月以降の急速な利上げの効果もあり、インフレ率が鈍化に転じています(図1)。景気が緩やかに減速しインフレも鈍化、その結果、利下げが実施され成長率が巡行速度に向かう、といった「軟着陸」論は説得力があります。一方で、「FRB(米連邦準備理事会)が利下げに転じるので、景気が軟着陸する」といった、やや「本末転倒」の感がある見方には注意が必要です。足元の金融市場ではFRBによる9月利下げ開始が9割方、織り込まれてますが、先行きの利下げペースは不透明です。インフレ率はFRB目標「2%」に未だ届かず、米国景気の「一致指数」と言えるISM(米供給管理協会)非製造業景況指数は景気判断の分かれ目の50を下回っています(図2)。今回のインフレ局面で後手を踏んだFRBが名誉挽回とばかりに、利下げで「先手」を打って景気に配慮するのか、拙速な利下げによるインフレ再加速だけは避けたいと考えるのか、微妙な情勢と言えそうです。

◆米国株式市場のセクター・ローテーションは続くのか?

7月の米国株式市場ではハイテク株を売って、景気敏感株、中小型株を買う「トランプ・トレード」が活発化しました。昨年来のハイテク株高は生成AIの成長期待が原動力ですが、急ピッチな利上げで先行きの景気後退懸念がくすぶる中、収益力や財務基盤が安定した大手IT銘柄が選好された面もありました。上記トレードの背景には、「ほぼトラ」に加えて、「利下げ継続による米経済の軟着陸」という2つの「見切り発車」の面がありそうです。

バイデン大統領の撤退で、11月の米大統領・議会選挙は再び不確実な情勢です。FRBの利下げペースも選挙結果=政策動向に左右されるとみられ、米国株式の物色動向は当面定まりづらい状況が続きそうです。

三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
三井住友トラスト・アセットマネジメントの金融情報調査室が、投資にまつわるコラムをお届けします。
【ご留意事項】
  • 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません
  • ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
  • 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
  • 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
  • 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
  • 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。
  • 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。