今年を振り返るキーワード2『米中貿易摩擦』

2018/12/20

 

今年を振り返るキーワード2『米中貿易摩擦』

トランプ米政権は、2018年7月に、知的財産権の侵害などを理由に、中国に対し制裁関税を発動しました。中国は即座に同規模の報復関税を実施しました。さらに、米国が8月と9月にも追加的な制裁関税を発動すると、中国も報復関税の実施で応じ、関税引き上げ合戦となるなど、『米中貿易摩擦』は激化しています。『米中貿易摩擦』は、ハイテク分野を巡る米中の覇権争いの側面があるため、長期化する恐れがあります。

【ポイント1】米中の関税引き上げの応酬

■米国は2018年7月、知的財産権などに関する中国の政策が米国に不利益を及ぼしているとして、中国からの輸入品340億ドルに25%の制裁関税を適用しました。中国はこれに対抗して、同額の米国からの輸入品に同率の報復関税を実施しました。

■続いて米国は8月、第2弾として、中国からの輸入品160億ドルに25%の制裁関税を適用しました。中国も同額・同率の報復関税を実施しました。

■さらに、米国は9月、第3弾として、中国からの輸入品2,000億ドルに10%の制裁関税を適用しました。これに対して中国は米国からの輸入品600億ドルに5%ないし10%の報復関税を実施しました。

【ポイント2】ハイテク分野を巡る米中の覇権争い

■米国は中国に貿易黒字の削減だけでなく、知的財産権や技術移転などに関する産業政策の見直しも要求しています。

■この背景には、世界第2位の経済規模となった中国が、先端技術の面でも米国に迫ろうとしていることに対する米国の強い警戒があります。中国は、ハイテク産業などの育成政策「中国製造2025」の修正を拒んでいます。『米中貿易摩擦』はハイテク分野を巡る米中の覇権争いの様相も呈しています。

 

181220MK

 

【今後の展開】『米中貿易摩擦』は長期化する恐れも

■トランプ大統領と習近平国家主席は12月1日、アルゼンチンで首脳会談を開きました。両首脳は、米国による第3弾の2,000億ドルの中国製品に対する関税の引き上げ(2019年1月より25%)を猶予することで合意し、知的財産権の保護など5分野について、3月1日を期限に米中協議を行うことが決まりました。

■米中首脳会談では貿易戦争の一時停戦が合意された格好となりましたが、ハイテク分野に関する両国の溝は深く、米中協議の最終合意の道のりは平坦ではありません。『米中貿易摩擦』は、先端技術を巡る米中の覇権争いの側面があるため、長期化する恐れがあります。

(2018年12月20日)

印刷用PDFはこちら↓

今年を振り返るキーワード2『米中貿易摩擦』

関連マーケットレポート

2018年12月19日 今年を振り返るキーワード1『米国一強』と世界経済

2018年11月28日 注目されるG20での『米中首脳会談』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
三井住友DS マーケット・レポート   三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会

このページのトップへ