米国債券市場の動向(2018年11月)利上げの織り込みが進み、長期金利はレンジ内での推移へ

米国債券市場の動向(2018年11月)

【ポイント1】国債利回りは低下
株価や原油価格の下落等が影響

■米国の10年国債利回りは、9月中旬に3%台に乗せ、11月8日の3.24%まで上昇しました。しかし、その後は低下基調を辿り、11月下旬は3.05%前後での推移となっています。

■11月上旬は10月の雇用統計で雇用者数が上振れたことや、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ継続の方針が確認されたこと等から、利回りは上昇しました。ところが、中旬以降は米株価や原油価格の下落、英国の政治混乱と欧州連合(EU)離脱交渉の先行き不透明感の高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)高官のハト派的発言を受け利上げ観測が後退したことにより低下しました。

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【ポイント2】社債利回りは上昇
株価下落等でリスク回避の動き

■一方、社債スプレッド(国債と社債の利回り格差)は、投資適格債、ハイイールド債ともに、拡大しました。株価や原油価格の下落、英国のEU離脱を巡る不透明感の強まり等により、リスク回避の動きが強まったこと等が原因です。

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【今後の展開】国債利回りはレンジでの推移へ

■米景気は、良好な雇用・所得環境を背景とする個人消費の増大を支えに、緩やかな拡大基調を維持する見通しです。FRBは今後18年12月と、19年に2~3回の利上げ実施後に様子見に転じると予想されます。もっとも、国債利回りは、3%程度と推計される中立金利をやや上回る水準まで利上げが行われる可能性を、ある程度織り込んだと考えられます。当面レンジ内での推移が見込まれます。

■社債については、発行が絞られてきたものの、資金流入も減少しており、需給は緩和気味です。新興国経済の減速や原油価格の大幅下落の影響もあり、神経質な展開を見込みます。

(2018年11月28日)

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