労働需給の引き締まりを示す米国の雇用統計(2018年10月)雇用者数、賃金ともに増加の勢いが強まる
労働需給の引き締まりを示す米国の雇用統計(2018年10月)
【ポイント1】雇用者数は25万人増
前月の反動もあり、雇用は大幅増
■2018年10月の非農業部門雇用者数は、前月比25.0万人増となり、ブルームバーグ集計による市場予想の同20.0万人増を大きく上回りました。予想を超える雇用増は、9月の統計が米東海岸を襲ったハリケーンによって下押しされた反動によると考えられます。
■「天候不良による就業不能者」が依然、多数存在することから、11月もハリケーンの影響による雇用の反動増が見込まれます。全米小売業協会が、今年の年末商戦における臨時雇用を昨年並み、もしくはそれ以上になるとの見積もりをしていること等と考え合わせると、しばらく雇用は順調な拡大を続けると予想されます。
【ポイント2】失業率は低水準を維持
緩やかに高まる賃金上昇率
■失業率は前月比横ばいの3.7%でした。労働力人口(労働供給)は大幅に増加しましたが、就業者数(労働需要)の拡大で、吸収しました。
■一方、賃金は前月比0.2%増でした。前年同月比では+3.1%と、今回の景気拡大局面で初めて+3%台に乗せています。労働需要増の勢いが強まるにつれ、賃金の伸び率も高まってきました。
【今後の展開】利上げは継続へ、ただし、そのペースは緩やかなものとなる見通し
■雇用統計が公表された11月2日の米国市場では、債券利回りが上昇(債券価格は下落)しました。市場予想を上回る雇用者数の増加を受けて、「米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月に利上げに踏み切る」との観測が強まったためです。一方、株式相場は、利上げ観測の高まりに加え、アップル社の業績見通しに対する失望感等から、下落しました。
■米景気・雇用の順調な拡大から判断する限り、今後も利上げは継続される見通しです。もっとも、物価上昇率が落ち着いていること等を踏まえると、2019年の利上げ回数は2回、政策金利の上限は中立金利(景気を刺激も抑制もしない金利の水準)とみなされる3%程度にとどまると予想されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
(2018年11月 5日)
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