運用者の視点:改善する『日中関係』
運用者の視点:改善する『日中関係』
「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、見出したことを“運用者の視点”として定期的にお届けしています。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの“今”を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。今回は、日中平和友好条約締結40周年の節目の年を迎えた『日中関係』の改善の動きについてです。 |
【ポイント1】米国やアジア周辺国との関係が悪化する中国
■このところ、中国と、米国やアジアの周辺国との関係がギクシャクするケースが増えています。昨年は、米国の最新鋭迎撃ミサイル「THAAD」配備問題を巡って韓国との関係が冷え込みました。今年に入ると、通商問題を巡る米国との対立激化は言うに及ばず、これまで中国と比較的良好な関係を保ってきた東南アジアからも、マレーシアが、中国の広域経済圏構想「一帯一路」の高速鉄道建設の中止を表明するなど、中国との関係を見直す動きが出てきました。
【ポイント2】改善の動きを見せる『日中関係』
■一方、『日中関係』に目を転じると、かつてのように緊張が高まるような場面はほとんどなくなってきました。最近は、どちらかというと、中国が日本との関係改善を積極的に企図しているように思えます。その背景は、現在の国際情勢や中国が置かれた立場にヒントがあります。つまり、米国を筆頭に中国と対立、ないしは中国との関係維持に慎重になる国が増えつつある中では、中国にとって『日中関係』をさらに悪化させることは避けるべきだからです。
【今後の展開】『日中関係』の一層の改善を期待
■足元で、『日中関係』の改善に向けた取組みが増えています。政府間では、5月に李克強首相が来日しました。中国首相の来日は、前任の温家宝首相以来7年ぶりのことです。次は年内に日本の首相が訪中し、2019年には習近平国家主席が来日するシナリオの実現に向けて調整が進んでいると伝えられます。
■また、日中の金融協力の加速や第三国でのインフラ整備協力の具体化など、産業レベルでも協調に向けた調整が進んでいます。特に第三国でのインフラ整備協力は、日中がそれぞれの得意分野を持ち寄ることで、3カ国すべてが利益を得られる可能性が高く、日中の協調事例としては理想的な案件であると考えられます。
■今年は1978年の日中平和友好条約締結40周年の節目の年です。『日中関係』の改善を進めるには絶好のタイミングであり、一層の進展が期待されます。
(2018年 9月19日)
印刷用PDFはこちら↓
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会