『ニューエコノミー』への移行が進む中国経済
『ニューエコノミー』への移行が進む中国経済
中国では、近年、実質GDP成長率が+7%台から+6%台へと減速するなかで、サービス市場の拡大により経済構造が変わりつつあります。特に、消費、サービスの領域では、新しい情報技術(IT)やビジネスモデルを活用した企業が急速に成長しています。産業としては、重厚長大産業が主役の「オールドエコノミー」から、こうした『ニューエコノミー』中心の構造へとシフトしつつあります。 |
【ポイント】「オールドエコノミー」から『ニューエコノミー』へ
第3次産業が拡大
■中国経済は長年にわたり高成長を続けてきましたが、近年は経済の発展と共に成長率が鈍化し、「新常態」に入っているといわれます。経済が成熟化するなか、中国政府は、経済成長の原動力を、外需から消費を中心とした内需に移行させる方針を示しています。同時に、産業構造を従来の重厚長大型の製造業を中心とする「オールドエコノミー」から、サービス業を中心とする『ニューエコノミー』へ転換する方針を掲げています。
■中国政府の方針を受けて、実際に『ニューエコノミー』へのシフトが進んでいます。名目GDPを供給サイドからみると、2012年にサービス業を中心とする第3次産業のウエイトが、製造業を中心とする第2次産業を上回り、2017年時点では50%を超える水準に拡大しています。
【ポイント2】株式市場は産業構造転換を反映
テクノロジーのウエイトが大幅増
■中国株式市場でも、「オールドエコノミー」から『ニューエコノミー』へのシフトが確認できます。MSCIチャイナ指数の業種別の時価総額をみると、“テクノロジー”は2007年末に全体の2%に過ぎませんでしたが、2017年末には41%と急拡大し、 『ニューエコノミー』をけん引しています。一方、“一般産業”のウエイトはこの間、13%から4%に縮小しました。
【今後の展開】ITの活用により『ニューエコノミー』への移行が加速
■中国政府は2015年に、ITと製造業など既存の産業を結びつける「インターネットプラス」と呼ぶ国家戦略を打ち出しました。また、製造業の高度化をめざす「中国製造2025」を発表し、次世代ITやロボットなど10分野を重点産業に指定し、国を挙げて製造業の底上げを支援しています。さらに、2017年には、「次世代人工知能(AI)発展計画」を発表し、中国のAI産業を世界トップ水準に引き上げようとしています。
■IT産業の拡大と共にインターネットやスマートフォンが普及し、これに伴い、eコマース(電子商取引)やライドシェアサービスなど、新たなビジネスが生まれ、急速に発展しています。ITの積極的な活用により、今後も中国経済の『ニューエコノミー』への移行は加速しそうです。
(2018年 8月 7日)
印刷用PDFはこちら↓
関連マーケットレポート
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会