運用者の視点:『中国のイノベーション』

運用者の視点:『中国のイノベーション』

「マーケット・キーワード」では、弊社のアジア株式運用者が運用業務を通して気付いたり、見出したことを“運用者の視点”として定期的にお届けいたします。急速かつダイナミックに変革が進む、中国・アジア地域の経済やマーケットの「今」を、独自の視点でお伝えできれば幸いです。第1回は、アジア株式運用者が中国出張で見聞きした『中国のイノベーション』についてのエピソードを紹介します。

【ポイント1】話題の次世代生鮮食品スーパーを視察

30分内配送が売り

■5月に投資家やメディアの間で注目されている中国の小売りの新業態をいくつか視察してきました。その1つが中国のEコマース(電子商取引)最大手のアリババが立ち上げた「盒馬(フーマ)鮮生」という食品スーパーです。このスーパーは、「新小売」、「次世代の生鮮食品スーパー」という触れ込みで、注文を受けてから30分内で配送(3キロ圏内)することを売りにしており、ネットスーパーの革命などと言われています。また、イート・イン・スペースを広く取り、生簀に入っている新鮮な魚介類をその場で調理して味わえるという体験型消費も提供しています。

【ポイント2】意外にアナログの部分が残る

袋詰めは手作業

■私自身、フーマの売場がどうなっているのか、その先進性を前評判から期待していました。しかし、訪問したお店に入り細かく観察すると、表向きはイノベーションでも、実は人手に依存したアナログ的な仕事が支えていることがわかりました。注文を受けた商品を集めて袋詰めにするのは手作業で、店員が注文リストを手に店の中を回り、商品を1つずつ袋に入れて、配達員が待っているバックヤードまで、天井を這うように設置された配送レーンのフックに引っかけて運んでいました。

 

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【今後の展開】投資家としては真にイノベーティブな事業を見極める必要

■中国では、規制が追いついていない分野を中心に、無人コンビニやモバイク(貸自転車)などの新ビジネスが日々生まれているといっても過言ではありません。最近の日本では、中国で次々と生まれる新業態について、喧伝されて伝えられていますが、その中身は千差万別です。また、規制が緩い新しい事業でも、モバイクのように突然規制が始まることもあります。

■中国が世界のイノベーションを牽引するとの評価も見受けられますが、投資家としては、規制が強化されても成長できる、真にイノベーティブな事業を冷静に見極める必要があると感じています。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2018年 6月26日)

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運用者の視点:『中国のイノベーション』

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