アセアン株式市場の動向 次第に堅調さを取り戻そう

アセアン株式市場の動向 次第に堅調さを取り戻そう

【ポイント1】マレーシア、タイは底堅く推移

■2018年4月のアセアン主要5カ国の株式市場は、それぞれ異なる動きとなりました。マレーシア株式市場(FTSEブルサマレーシアKLCIインデックス)は、5月に総選挙が実施されると公示されたことが好感され、年初来高値を更新するなど堅調でした。タイ株式市場(SET指数)も底堅く推移しました。

 

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【ポイント2】フィリピン、インドネシア、ベトナムは軟調

■一方、通貨安懸念から軟調な推移が続くフィリピンは下落しました。フィリピン株式市場(フィリピン総合指数)は4月25日に7,557.91ポイントとほぼ1年ぶりに安値を更新しました。フィリピンはインフラ投資を拡大する方向ですが、その原資を確保するために物品税を増税するなど、インフレ圧力がかかりやすい環境となっています。こうした中、3月の消費者物価指数も前年比+4.3%とインフレ目標圏(2~4%)の上限を超えたことで、利上げ観測が再燃しました。

■インドネシア株式市場(ジャカルタ指数)は、米国10年債利回りが3%台へ上昇するにつれ、インドネシア10年国債利回りも7%台まで上昇するなど、長期金利が上昇する中で大きく調整しました。米国債利回りの上昇過程では、長期金利の上昇やインドネシアルピアの下落につながりやすい状況にあります。

■ベトナム株式市場(ベトナムVN指数)は、2016年以降続いている上昇局面の中での一時的な調整と言えそうです。昨年末から4月9日の年初来高値まで+22%、約1年前の2017年4月27日からは+68%の大幅上昇後の反動でした。

 

【今後の展開】次第に堅調さを取り戻そう

■フィリピン株式市場は、短期的には増税によるインフレ懸念や経常赤字の拡大によるフィリピンペソ安が足かせとなりますが、中長期的には税収増を通じてインフラ投資の拡大が期待できます。株価はすでに過去との比較において割高感が解消されつつあり、今後は良好な経済成長が注目されることで、底堅く推移すると考えられます。

■インドネシア株式市場は、1-3月期決算が下方修正されたこともあって軟調となりましたが、2018年、2019年共に2桁の利益成長が予想される見通しに変化はなく割安感が出ています。さらに大統領選の前哨戦ともいえる主要州知事選挙を6月に控え、景気刺激策等が期待されることから、次第にセンチメントが回復に向かうと思われます。

■ベトナム株式市場は、(1)インフレ率が低位で安定、(2)高めの経済成長率(2018年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+7%台)の持続が可能、(3)経常収支の黒字持続、など経済環境は好調です。企業業績も好調なことから、今後は堅調さを取り戻すと期待されます。

 

(2018年 5月 2日)

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