2017年の為替市場の振り返り 米ドル/円相場は円高だが、総じて安定した推移

2017年の為替市場の振り返り 米ドル/円相場は円高だが、総じて安定した推移

 

【ポイント1】先進国通貨は円安傾向

米ドル/円は円高

 

■米ドル/円は、1月上旬に116円~118円台で推移した後、概ね108円~114円台と年初よりも円高で推移しました。米国景気が底堅く推移し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが米ドル高要因となる一方、日米の貿易不均衡是正を求める米国の政治的圧力や米長期金利の落ち着きがドルの上値を抑制しました。

■ユーロ/円は、各国の選挙を控え欧州政治の不透明感から4月までユーロ安で推移しました。5月以降は良好な域内経済や欧州中央銀行(ECB)の金融緩和縮小方針が支援材料となり、緩やかなユーロ高となりました。英ポンドも対円で英ポンド高となりました。豪ドル/円は商品市況の影響を受けて上下しましたが、11月下旬以降は資源価格の持ち直しから、対円で豪ドル高となりました。

 

 

【ポイント2】新興国も総じて安定推移

二極化も小幅なものにとどまる

 

■新興国では対円で二極化が進みましたが、緩やかな変動にとどまりました。インド・ルピーの変動性は非常に小さいものでしたが、他のアジア通貨も年初の水準を100とした指数で90~110に収まるなど、総じてアジア通貨は安定した推移でした。こうした中、利上げが遅れ、政情が悪化したトルコ・リラの変動率は高くなりました。

 

 

【今後の展開】落ち着いた推移を想定

 

■2018年の為替市場は、落ち着いた推移が想定されます。FRB、ECBは金融政策の正常化を進めていく方針ですが、インフレ懸念が小さいため、為替市場の変動性が極端に高くなる可能性は低そうです。ただ、地政学リスク(北朝鮮問題や中東情勢等)は引き続き懸念されるほか、英国のEU離脱交渉や米中間選挙などの政治リスクには注意が必要となりそうです。

 

 

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(2017年 12月 28日)

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