順調な拡大を示す米国の雇用統計(2017年11月)雇用の増勢に変化は見られない
順調な拡大を示す米国の雇用統計(2017年11月)雇用の増勢に変化は見られない
【ポイント1】雇用は約23万人の増加
雇用の増勢に変化なし
■2017年11月の非農業部門雇用者数は、前月比22.8万人の増加となり、ブルームバーグ集計による市場予想の同19.5万人増を上回りました。
■9月の雇用者数の増勢鈍化は、やはりハリケーンの影響による一時的なもので、労働市場の基調そのものに変化はないことが確認されたといえます。
【ポイント2】失業率は低い水準で横ばい
勢いを欠く賃金の上昇
■失業率は前月比横這いの4.1%でした。就業者数(労働需要)は増加したものの、労働力人口(労働供給)も拡大したためです。
■賃金上昇率は前月比0.2%増、前年同月比で2.5%増となり、それぞれ市場予想の0.3%増、2.7%増を下回りました。賃金は増加を続けていますが、勢いには欠けています。
■物価の上昇が鈍く、コストの増加を製品価格に転嫁し難いことから、企業が賃金の抑制に力を入れているためと考えられます。
【今後の展開】金融緩和の解除は緩やかなペースで進められる見通し
■8日の米国市場では、株価が上昇、債券価格は下落(債券利回りは上昇)しました。雇用者数の続伸を受け、米国経済の順調な拡大が確認されたためです。もっとも、賃金上昇率が市場予想を下回ったこと等から、インフレ急加速の可能性は低いとの見方が広まり、債券利回りの上昇は小幅なものにとどまりました。
■米国の景気・雇用は順調に拡大していますが、賃金・物価の上昇率は依然として低い水準にとどまっています。このことは、性急に利上げを進める必要性の低いことを示すものです。従って、米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後も金融緩和の解除を「緩やかなペース」で進める公算が大きいと考えられます。
(2017年 12月 11日)
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