インド、銀行への『資本注入』と市場動向

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インド政府は10月24日、景気を浮揚させるため大型の景気刺激策を発表しました。これまで懸案であった銀行の不良債権問題に対し、今後2年間で国営銀行へ多額の『資本注入』を行うと共に、今後5年間で大規模な高速道路建設等を実施する計画です。景気刺激策を受けてインドの株式市場は過去最高値を更新する一方、財政悪化懸念等から長期金利は上昇しました。

【ポイント1】今後2年間で2.11兆ルピーを銀行へ『資本注入』

今後5年間で6.92兆ルピーの高速道路整備

■インド政府が発表した国営銀行に対する『資本注入』額は、今後2年間で2.11兆ルピー(約3.7兆円)で、インドのGDP(2016/17年度)対比でおよそ1.4%の規模になります。『資本注入』額2.11兆ルピーのうち、1.35兆ルピーは債券発行により資金を調達し、残りの0.76兆ルピーは財政予算措置や銀行の市場調達で賄う計画です。

■同時に、インド政府はインフラ整備を目指し、全長83,677キロメートルに及ぶ高速道路を整備すると発表しました。今後5年間で6.92兆ルピー(約12兆円、同GDP比約4.6%)を投資する計画です。

 

 

 

【ポイント2】銀行への『資本注入』効果は大きい

銀行の融資拡大で経済成長が加速

■国営銀行への『資本注入』と道路整備プロジェクトは、インドの中長期的な経済成長を引き上げると考えられます。特に、銀行への『資本注入』は、モディ政権の経済改革を推進するうえで効果が大きいとみられます。

■モディ政権は2016年に「破産法」を施行しており、今回の『資本注入』により国営銀行は不良債権処理を進めやすくなります。不良債権処理が進展すれば、銀行の財務基盤改善による融資拡大を通じて、中小企業等への金融支援力が強まり、景気回復を後押しするとみられます。

 

 

 

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【今後の展開】株式市場は堅調維持、為替市場は底堅く推移しよう

■インドの主要株価指数SENSEXは、政府の景気刺激策を受けて、過去最高値を更新しました。特に、銀行株が大きく買われるなど、株式市場は銀行への『資本注入』策を好感しています。中長期的には金融システムの強化やインフラ整備を通じた経済へのプラス効果が期待され、インド株式は堅調な展開が見込まれます。

■通貨ルピーは、景気刺激策公表後、対ドルで横ばい圏で推移しています。堅調な株式市場を背景に今後も底堅く推移しそうです。一方、債券市場は景気刺激策に伴う財政赤字拡大を懸念して下落し、長期金利が上昇しました。債券市場では、政府の財政赤字見通しや資金調達方法の詳細が注目されそうです。

 

 

 

 

 

(2017年 11月 13日)

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